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【競馬】名伯楽に見た真のプロの姿

 宝塚記念で上半期のG1シリーズが終了。これまでのG1を振り返るといろいろなことがあった。

 記者は関東を主戦としている。振り返ると若手のホープ・横山武史騎手のG1初制覇(皐月賞・エフフォーリア)や、そのエフフォーリアを負かしてシャフリヤールがダービーをV。鞍上の福永騎手はダービー連覇を達成した。また、白毛で史上初のクラシックホースとなったソダシがオークスで8着に敗退。これらのレースは現地で取材した。注目馬が敗れたレースで挙げるなら、中山グランドJで5着となったオジュウチョウサンもそうだ。

 これだけ話題のあったG1の中で、記者が最も印象に残った取材は、キングストンボーイ(牡3歳)と藤沢和雄調教師だ。厳密にはG1に出走しなかったのでG1取材ではない。ただ、青葉賞で2着に入り、ダービーの優先出走権を得ながらも、体調が整わないという理由から出走を見送った藤沢和師の英断。多くの出来事のなかでも印象深く残っている。

 JRA通算1540勝(27日現在)を挙げている藤沢和師は、来年の2月いっぱいで定年となり調教師を引退する。つまり今年のダービーが、師にとって最後のダービーだったのだ。そんな状況でつかんだ優先出走権。取材する側としても、名伯楽の最後のダービーが、どんな結末を迎えるのか注目していた。しかし、青葉賞が終わって、すぐにダービーを見送ることを発表した。

 藤沢和師は「態勢が整わないのでダービーを見送ることにしました。自分自身が最後のダービーとなるので残念ではあるけど、馬の将来のことを考えると無理はできないと判断しました」と説明した。故障によるものではない。万全の態勢で出走できないため、断念したものだ。師の代名詞でもある“馬優先主義”を最後の最後まで貫いた。そこに心を打たれた。

 もし自分が同じような状況に置かれたら、どうしただろう。馬の状態にもよるが、使えるようなら最後のダービーだし、出走させるという判断に至ったかもしれない。記者の浅はかな考え方と比較するのは失礼な話だが、藤沢和師は自身のポリシーを貫きキングストンボーイのダービー出走を見送った。そこに本物のプロフェッショナルの姿を見たような気がする。(デイリースポーツ・小林正明)

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