【野球】広島スコアラー岩本貴裕さん 伝え方学び、選手後押し 今年は虎を密着マーク

 阪神のキャンプを視察する岩本スコアラー
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 コロナ禍が続く中でもチームを支える裏方の存在は欠かせない。現役時代に注目を集め、今も陰で奮闘する元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」。第6回は広島・岩本貴裕スコアラー(34)だ。08年度ドラフト1位として入団し、19年に現役引退。スコアラー2年目となる今年は阪神を密着マークしている。

 サングラスとマスクを取ると、日焼けの跡がくっきりと表れる。2月のキャンプ中。岩本スコアラーは宜野座のバックネット裏が仕事場だった。

 スコアラー1年目の昨季はヤクルトを担当。今年から阪神を分析する。昨季は8勝13敗3分けで負け越し。猛虎の印象は「梅野や原口、糸原が一生懸命やって、他の選手を引っている。若返ったし、良いチーム」と警戒する。ドラフト1位の佐藤輝(近大)についても「振れる力、飛ばす力がある。あまい球は確実に捉えている。(10日に甲子園で打たれた)本塁打も外寄りの高い球だった。怖い存在」と徹底分析中だ。

 広島商、亜大を経て08年度ドラフト1位で入団。地元出身の大砲として期待され、2年目に14本塁打を放ったが、その後はケガと戦う野球人生だった。右膝の痛みや血管の不具合「左腋窩(えきか)動脈閉塞(へいそく)症」もあって、19年限りで現役を引退した。

 スコアラーは分析から導き出したデータをもとに攻略の糸口を探す。「迷いを消して送り出すことが大事。思い切りプレーできる環境を作っていきたい」。限られた時間のミーティングで気をつけるのは伝え方だ。「要点をまとめ、短く言って頭に入れてあげることが大事」。コミュニケーションの本を読み込んで勉強。端的で分かりやすい言葉を選ぶことを心掛けている。

 昨季を振り返り、課題は投手への助言だという。打者出身だけに、自身には投手を打ち崩すイメージがある。だから、助言しやすかった。一方で投手への伝え方は「もっと簡潔に言った方が良かったかな」と反省があった。それでも「僕から聞いた部分もある」と、九里や森下ら多くの投手と話して投手心理を学べたことは財産だ。

 「チームが勝つことが一番。そのために選手が自信を持ってグラウンドに出ていかないといけない。少しでも背中を押してあげたい」。現役時代は“ガンちゃん”と呼ばれて親しまれた優しい男は、そう言って前を向いた。(デイリースポーツ・市尻達拡)

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