【野球】クロマティ氏が明かす、外国人選手活躍のカギ 自身は篠塚氏らと会話

 巨人を代表する外国人選手の1人、ウォーレン・クロマティ氏(66)は、現在、巨人のアドバイザーを務めている。文化の違う日本で外国人選手が結果を出す難しさ、また、自身がアドバイザーとしてどのような活動をしているのかを聞いた。

 クロマティ氏はMLBエクスポズを経て84年から90年に巨人でプレー。うち規定打席に到達した6シーズン中、打率3割以上は4度。89年はシーズン中盤まで4割台をキープし最終的には・378で首位打者に輝いた。初年度の84年も打率は・280、本塁打35本、93打点と活躍している。また、打撃で活躍した後に守備につく際、スタンドを向いてファンと一緒に「バンザイ」をするなど、明るいキャラクターでも人気だった。

 外国人選手が日本で活躍するカギは何か。クロマティ氏は「何よりも大事なのはコミュニケーションだと思う」と明かしてくれた。

 「すべての外国人選手に言えるのは、自分自身が日本の生活やマナー、習慣をしっかり理解することをクリアしないとできない。その理解があって、初めてユニホームを着てプレーすることができる」

 例えば移動だけ見ても、アメリカの移動は飛行機が主で、ある程度のプライバシーが確保される。日本だと、遠征時は新幹線が主になる。こうした違いにも慣れる必要があり「日本人がメジャーに適応する方がハードルは低いんじゃないかな」と語るほど、大きな違いと感じるのだとか。食事、通貨感覚、ランニングの仕方、ミーティングの長さなど、日米のギャップはいたるところにある。

 こうしたことを解消するためチームメートと食事に出掛けたりもしたというが、それ以上に意識したのが、ロッカールームでの会話だった。1番話した人は「篠塚(和典氏)」、そして「あと、吉村(禎章氏)。江川(卓氏)」。篠塚氏は当時の多摩川での練習時に「最初に声を掛けてくれた」ことがきっかけだったという。

 数字など日本語の基本を除くと、話したことはプライベートのことかと思いきや、「その後は、野球を通した会話が中心でした」。まだ、メジャーリーグが近年ほど身近でなかった当時、エクスポズでプレーしていたクロマティ氏は生の情報を知る存在。「彼らは大リーグの野球を知りたがっていたし、大リーグの選手についても知りたがっていた。私は日本の野球、日本のピッチャーの情報を知りたがっていたので、彼らがすごく助けてくれました」と、会話を通じて日本球界を吸収していった。「動物ともコミュニケーションできるよ」と明るく話すパーソナリティーも日本で活躍する素養の一つだったのだろう。

 今は“教える側”に立っている。アドバイザーとしては今、何をしているのか。「バッティング、守備、ベースランニング、メンタル、(プレー以外も含め)全部で助けることです」と話すクロマティ氏は、「時々、日本の選手も聞きに来ますよ」と明かした。その1人が石川慎吾外野手で、「どういう気持ちで打席に向かったか」と問いただしたことがあるという。

 その中で与えたアドバイスは「考えるのはネクストバッターズサークルで、(そこで)しっかりまとめる」というもの。「バッターボックスに入ったら投手との1対1の対決なんだから、感じて、それを表現するだけ。準備が大事なんだ。しっかり準備をして、準備をしたものをバッターボックスに持っていかないといけない」と教えを説いたと振り返った。「自分の経験を日本人であれ、外国人であれ生かしてもらうことが自分の務めかなと思います」と考えている。

 こうした野球に携わってきた経験や、日米でのプレーで得たものを次の時代に引き継いでいきたい、という思いからユーチューブでも情報を発信している。「クロマティチャンネル、お願いします。見て!ユーチューブね。グッドボタンお願いします。チャンネル登録、お願いしますね!」。日本語も交えながら笑顔で締めくくった。(構成=デイリースポーツ・広川 継)

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