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【野球】無観客の野球開幕、ラジオ実況極意は…松本秀夫アナ「球音を邪魔しないよう」

 プロ野球が19日に約3カ月遅れで開幕する。ただ、観客はいない。新型コロナウイルスの影響で普段とは全く違う球場から、伝える側は何を意識するのか。ラジオのニッポン放送のナイター中継「ショウアップナイター」で東京ドームの開幕カード「巨人-阪神」を担当する松本秀夫アナに心境を聞いた。

 寝てもさめても気持ちが高ぶる開幕戦…とは今年に限ってはいかないようだ。過去10回ほど開幕戦を担当したという松本アナですら「不安と、ピリピリとした雰囲気の中でやる」と構えている。「頭のてっぺんから『さあ、始まりました!』っていうトーンでいく開幕とは、やっぱり自ずと違うと思うんですよね」と語る。今、思案しているのは「第一声のトーンをどの辺の音から出していけばいいのかな」という点なのだという。

 松本アナはニッポン放送に1985年に入社。2017年からはフリーとして活躍している。今もニッポン放送の野球中継には欠かせない大ベテランだ。

 百戦錬磨の松本アナも、どう実況すべきかを探るべく、12日に東京ドームで行われた巨人-日本ハムの練習試合で、文字通り“練習”をしてきたのだという。歓声のない球場に身を置き、「ここで第一声を出すというのが、すごく臆するというか…。こんな静かなところで一人、ギャーギャーやるっていうのがすごく、どうしようと逡巡していたんです」。放送ブースにたたずんでいると、隣から“ブツブツ”と唱えるラジオ日本のアナウンサーの聞こえてきたという。歩み寄った松本アナは「2人だったら百人力だから、やっちゃおうぜ」と予行演習を実施。他局も含めて「みんな頑張ろうねという感じでいければと思いますね」と本番へのイメージを膨らませた。

 捕球音、打球音、死球を痛がる音、さらには予行演習で巨人の菅野が何気なく出していた音にも耳を傾けた。「マウンドの横にある金属の棒でカンカンカンと(スパイクの土を落とす)。あのカンカンカンという音が拍子木のように東京ドームに響いたんです」。注目するのは、静寂だからこそ聞こえる音。「今の音は何とかなんです、っていうのは、すごく強調して(やりたい)。普段はかき消されてしまうバットの音とか、150キロのボールがミットにバシっとおさまる時の音っていうのを、僕の実況で消さないように」と心がけるという。

 ニッポン放送での大先輩で師匠と仰ぐ存在・深澤弘アナから受け継いだ「大基本中の大基本」という極意がある。それが「『ピッチャー第2球を投げた』の『た』の文字をピッチャーの手からボールが離れる瞬間に合わせる」。すると「150キロのストレートだと0・4秒後にバシっていうミットの音が小気味よく入る」、100キロのカーブだと「0・6秒後にミットにボスっていう音が入る」のだという。松本アナは「基本に今こそ立ち返って、静寂に響き渡る球音を邪魔しないような実況にしたいと思っています」と決意を語った。

 試合前の取材も熱心に行い実況に取り入れることで知られる松本アナだが、今季は選手・スタッフとの接触も限られるのが「本当に辛いですね」とも語る。何から何まで違う今季の開幕戦「巨人-阪神」の見どころは?ディフェンスの阪神、オフェンスの巨人と見る松本アナは「いずれにせよ開幕は投手戦になるでしょうね」と予想する。

 「投手戦でそれこそ0-0、1-0でいってくれれば、静寂なんだけど緊張感というところを伝えられると思うので、緊張感のなくなってしまう試合にだけはならないでくれって感じですね」

 ちなみに、松本アナの今季のセ・リーグ予想は優勝が阪神、2位が巨人だそうだ。(デイリースポーツ・広川継)

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