【野球】新監督と名将で重なった横浜高校のイズム

 甲子園春夏通じて5度の優勝を誇る横浜が6日から活動を再開させた。4月にOBの村田浩明監督が就任。新体制が始まった矢先、わずか7日しか経過していないうちにコロナ禍で新たな教え子と会うことすらままならなくなった。

 チームがいったん解散している間に、最大の目標だった夏の甲子園中止が決まった。「実際に、どういう風に声を掛けたらいいのかっていう正解がないので」。“答え”を探し続けても、掛ける言葉に迷っていた。

 自粛期間中もオンラインで部員と対話は続けていた。ただ、「心と心のコミュニケーションというのはそういったのでは取れない」と限界も痛感。再会した日は練習の予定を取りやめ、すべてミーティングに費やした。

 「やはり甲子園という場所は本当に彼らがですね、我慢して乗り越えて。甲子園があったから乗り越えられたというところがあったと思う」。自らも聖地を目指して横浜の門をたたいた身。同じグラウンドで努力を重ねて憧れの場所にたどり着いたからこそ、言葉に説得力を感じた。

 同時に「我慢」というフレーズで思い出したのは、村田監督の恩師でもある渡辺元智氏だ。横浜の歴史を作り上げた名将も常々、耐えることが大事だと強調していた。「スポーツっていうのは健全な精神、それから健全な忍耐力、体力とかね。そういうものを合わせて向上させていかないと。我慢も教えないといけない」

 イズムを継承する新指揮官は、「後輩たちに何を残せるか」と3年生に語りかけた。脈々と受け継がれる伝統は、これまで先輩が後輩へバトンをつないできた証し。監督と選手という関係性はもちろん、横浜の先輩と後輩としての関係性からも伝えられるものがあると信じている。

 神奈川県高野連は今夏に独自大会開催の準備を進めていくことを表明した。実施されれば最上級生のみで臨むとすでに決めている。「この逆境を乗り越えて。横浜高校はこういう場面でも強いチームだと思われるような、勇気を与えられるような大会にできたら」。名門の誇りを胸に、戦うことを誓っている。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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