【野球】人間力も器も大きな松井秀喜氏 ユニホーム姿を想う

 規格外のスケールを持った男だった。巨人や米大リーグ、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏。希代のホームランアーティストとしての功績は、改めて触れるまでもないだろう。松井氏の取材をしてきた中で、いつも感じていたのは“人間力”だった。

 巨人の主砲として君臨していた2000年。正直に言うと、2年後にFA権を取得するゴジラの心境を取材したくて自宅に行った。“アポなし”だったが球場に向かう松井氏は、快く自家用車に乗せてくれた。

 世間話から始まり、前日のホームランの話。そして将来的な松井氏の去就について聞いてみた。

 「オレは(巨人に)いるつもりだよ」。

 再来年にはFA権を取得するが?

 「まだ、ずっと先の話でしょ。正直言ってまだ何も考えていない」。

 本音を語っていたと思う。当時からあふれるような“巨人愛”を持っていた。その後に心境の変化があったとしても、巨人に対する思い入れは、今も変わらないだろう。

 松井氏が在籍していた当時も巨人は、マスコミから大きな注目を集め、新聞やテレビなどの担当を合わせれば常に50人以上の記者が取材していた。松井氏は、10代の巨人入団後から自身を取材した記者の顔と名前を全て覚えていることでも有名だった。私も大勢の巨人担当記者の中の1人だったが、ある時「伊藤ちゃん」と呼ばれて、驚いたことが印象に残っている。

 18年11月の日米野球でMLB選抜のベースコーチとして参加した松井氏を久しぶりに取材した。松井氏に「今は?」と担当球団などを聞かれた。「緩く遊軍をやってます(笑)」とジョークのつもりで言うと松井氏は「昔から緩かったじゃん」と豪快に笑っていた。

 気さくな性格は何も変わっていなかった。器の大きい男。人間力がある男。そして誰よりも巨人を愛した男。いつか日本で、指導者になってユニホームを着る姿を見たいと思っているのは、私だけではないはずだ。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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