【野球】阪神・大山の変化 猫背矯正、背筋“まっすぐ”でボール仕留める確率アップ

 独自の視点からプレーの深層に迫る虎目線-。今回はオープン戦で首位打者に輝いた大山悠輔内野手(25)の変化に迫る。108試合で4番を務めた昨季は、気持ちの焦りからトップを作った際に猫背となり、ミスショットの原因となっていた。その反省を生かし、“猫背矯正”に取り組んだことで一振りでボールを仕留める確率がアップ。オープン戦終盤から四球数も急増しており、飛躍の兆しが見えてきた。

 昨年の大山と、今年の大山で比較すると、構えた際の背中が大きく違っている。開幕から105試合で4番を務めた昨季は、構えた時点で猫背になっていた。だがオープン戦首位打者を獲得した今年は、背中が真っすぐ伸びたままトップの位置からスイングに移っている。

 大山「去年は打ちたい、打ちたいという意識が強くなりすぎて猫背になるクセがあった。今もそこは意識しているんですけど、自分がしっくりくる形でやっています」

 神宮で行われたヤクルト戦の試合前練習、フリー打撃前に行うティー打撃の段階から、背筋を伸ばすようなしぐさがあった。“真っすぐ立つ”という意識を体に植え付けてから、バットを振り出した大山。スイング時に猫背になることで、ボールの見極めに狂いが生じる。一度、始動してしまえば明らかなボール球にもバットが止まらなかった。内角のボールに対しても、スムーズにバットを出せなくなっていた。

 プロ野球の歴史に名を残したスラッガーのフォームをひもといても、トップを作った瞬間に猫背になっているバッターは少ない。阪神前監督の金本知憲氏も「真っすぐ立つ、そして軸で振る」という意識を現役時代から徹底し、指導の基本線としていた。2019年を反省&分析し、一つの“答え”にたどり着いた大山。その効果はオープン戦首位打者という結果が証明している。

 大山「(昨年の)自分の課題として四球の少なさがあったと思うんです。フルカウントから三振するケースが多かった。その我慢がオープン戦中盤からできるようになってきた。打撃の幅が広がったように思います」

 猫背を矯正したことで、しっかりとボールが見極められるようになった。狙った球を一振りで仕留められる確率も上がった。ミスショットが減ったことで安打を積み重ねることができた大山。そこからもう一段、ランクアップした姿を見せたのが、21、22日の練習試合・ヤクルト戦だ。

 ボールゾーンの球に手を出さず、フォームを崩されることもなかった。打ちに行って前のめりになり、明らかなボール球を振るシーンはなかった。余裕を感じさせるたたずまいで、計4四球をマーク。15日のオリックス戦でも3四球を選んだように、急激に増えた四球数も打撃の幅が広がった揺るがぬ証拠だ。

 大山「これを続けていけるようにしたいと思います」

 チームが待ち望む生え抜きの4番へ-。決して間違った方向には歩んでいない。不振に陥った時のチェックポイントとして、自らの引き出しも増えた。まだ大卒4年目。大山は日々の結果を反省し、課題を克服しながら一歩ずつ前へ進んでいる。(デイリースポーツ・重松健三)

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