【野球】オリックス“超大物”アダム・ジョーンズ獲得の舞台裏
メジャーリーグの大スター、アダム・ジョーンズ外野手のオリックス入りは球界に衝撃を与えた。
メジャー通算1939安打、282本塁打。ゴールドグラブ賞4度、シルバースラッガー賞など輝かしい成績の数々。2013、17年のWBC米国代表でもレギュラーとして活躍と名実ともにメジャーを代表する選手だ。
なぜ、こんなスーパースターを獲得できたのか?
そのきっかけは今年夏ごろにあったという。視察のため米国を訪れていた福良淳一GMをはじめオリックスのスカウト陣に代理人から一つの情報がもたらされた。
「彼は日本に興味を持っている」
当時のオリックスサイドの反応は「まさか」だったという。ただ、もしもに備えて調査だけはしておこうともなった。
9月ごろ、球団ではロメロに代わる右の大砲獲得の方針を固める。あの情報の真偽を確かめるときが来た。代理人に尋ねた。すると「日本でプレーしてみたいと言っている。彼は本気だ」と答えが返ってきた。
横田昭作国際渉外部長は「本人が日本のことを知りたいということだった。それに平野からも“なんか日本のこと聞いてきましたよ”と言われて。これは本気だと思いました」と明かした。
意外なところから信ぴょう性の高い情報がもたらされた。元オリックスの平野佳寿投手だ。ダイヤモンドバックスでジョーンズとチームメートになった彼はジョーンズから日本プロ野球についていろいろな質問を受けたと教えてくれた。これで本格的に獲得交渉へと乗り出していった。
交渉は極秘に行われた。球団内でも情報を知っている人間は極少数に限った。
福良GMは「イチローにも言ってない。漏れたら悪いから」とレジェンドにも一切、教えなかった。
一方で用意は周到に行った。ジョーンズがメジャーでレギュラーを獲得して以来、付けてきた背番号10。大城には11月中旬に打診した。
福良GMは「背番号を変えてもいいかと聞いた。誰を獲得するかは伝えなかった」と話した。まさかに備えて大城の背番号変更、それ自体も口止めしたという。
正式契約の際、代理人から衝撃的なことを言われた。
「背番号10を用意してくれてありがとう。これがなかったらオリックス入りは実現していなかったかもしれない」
この言葉に交渉団は肝を冷やした。そこまで思い入れがあるとは思っていなかったからだ。
日米の球界に衝撃を与えた獲得劇はこうして最高のフィナーレを迎えた。帰国後、交渉団の笑顔は絶えない。これだけの大物を獲得したのだから当然だろう。
注目の人は1月末に来日する。その日が今から待ち遠しい。(デイリースポーツ・達野淳司)