【野球】ヤクルト・坂口智隆&雄平 年齢の「壁」打破に燃える頼もしいベテラン

 燃えていた。世の風潮をはね返す。それが新たなモチベーションにもなる。「世代交代と言われている中で、僕らの世代が中心となって出られる状態を作る。高い壁だと思うんですけど、ワクワクする」。ヤクルト・坂口智隆外野手が口にした『壁』。それは年齢に対する固定観念だ。

 球団は今オフ、ソフトバンクからFA宣言した福田の獲得に動いた。背景にある課題として取り上げられたのが、外野陣の高齢化だった。今季レギュラーの青木、バレンティン、雄平は全員が35歳以上。昨季は一塁と外野をこなしながら1番打者として打率・317をマークした坂口も、84年生まれの35歳だ。

 今季は開幕直後に死球を受けて左手親指を骨折。負傷の影響は大きく、1軍出場は22試合にとどまった。捲土(けんど)重来を期す思いは強い。「守備はもちろん、スイングスピードを前よりつけるためにトレーニングしている。自分の体と技術に100%の時間を費やしたい」。自分を追い込んで汗を流し、クラブハウスを引き揚げる際には充実した表情を浮かべていた。

 鍛錬の秋を過ごしていたのは、坂口と同学年の雄平も同じだった。21日まで神宮外苑などで行われた秋季練習に自主参加。トレーニングウエアと短パン姿で、メニューをはつらつとこなしていた。ベテランは秋季練習を免除されているが「外野守備の練習もしたかったし、トレーニングはすごく大事。内容もキツい。みんなでやると追い込めるのもある」と志願した。

 ビルドアップされた体はチームでも指折り。35歳という数字でひとくくりにされる風潮や、チーム内の年齢構成が重視される流れにには「仕方ない。僕が球団の人なら、やっぱりそこは考えます」と理解を示す。一方で「年齢は受け止めるけど、そこに歯向かうというか、いかに体を維持できるかの戦いになってくる」と、世の風潮に流されるつもりは毛頭ない。

 昨オフは膝を負傷していたため、満足な練習ができず。不安がない今オフは、大きな負荷をかけたトレーニングが可能となった。下半身を十分に使えることで、打撃フォームの改良も模索。「技術はまだまだ、いくらでもうまくなれるから」と向上心は尽きない。

 35歳という年齢は、プロアスリートにとって一つの“境界線”のように取り上げられることは多い。ただ、医療やトレーニングの進化で、選手寿命は延びている。40歳を超えて一線で活躍するプレーヤーも少なくない。「年齢が若いだけで出られるような甘い世界じゃないんでね。この年からキャリアハイを更新していければ、もっともっと、現役もできると思う。いつも以上の覚悟を持って、そういう『壁』に勝つための準備をしていく。意地を見せるところ」。坂口は熱い口調で楽しそうに言った。燃えるベテランは来季、こちらの想像を超える36歳の姿を見せてくれるに違いない。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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