【芸能】上方漫才大賞の中川家の矜持 漫才の作業は一番しんどいけど…死ぬまでやりたい

 上方演芸会で最も長い歴史を持つ「第54回上方漫才大賞」に兄弟コンビの中川家が選ばれた。

 ノミネートされた漫才師が、当日にネタを披露して競う奨励賞、新人賞と異なり、選考された1組が会場で発表される大賞。中川家の名前がスクリーンに映し出されると、満場納得の拍手が起こった。

 現在の拠点は東京ながら、なんばグランド花月にも定期的に出演する第一人者。2010年以来、9年ぶりの受賞を弟・礼二(47)は「2回目ということで非常にうれしいです」とかみしめるように喜んだ。大賞の受賞者は1966年の第1回が、かしまし娘。その後も夢路いとし・喜味こいし、横山やすし・西川きよし、レツゴー三匹、オール阪神・巨人、ダウンタウン、トミーズ、ハイヒールらそうそうたる顔ぶれが並ぶ中、9組目の複数受賞となった。

 01年の初代M-1グランプリ王者でもある2人は、漫才への愛を隠さない。礼二は「単純に一番楽しい」、兄・剛(48)も「漫才師として一生いたい。60歳になっても、親しみやすい面白いおっさんになっていたい」と強い思いを口にした。

 好きゆえの“注文”もあった。この日は中川家を尊敬するかまいたちが奨励賞、同じ兄弟コンビのミキが新人賞を獲得。漫才の未来は明るそうだが、売れてテレビのバラエティー番組に出始めると、舞台に立たなくなるコンビ、トリオもいる。礼二は「(漫才を続けて)やって欲しい。漫才の作業は一番しんどい。コンビの事情はあるだろうけど、大賞を取っても(ネタを)やってない人間がいっぱいいる。(自分は)漫才師を死ぬまでやっていたい」と語気を強めた。

 普段はおとなしく、今後の目標を「現状維持」と控えめに明かした剛も、「歌手は歌を歌う。俳優は芝居をする。漫才師は漫才をするはずなのに、何でやめるのかっていつも思う。『何でやめたん?』って聞くと、『ネタを作ってないんで』って。作れよ!意味分からん」と厳しい口調で発言。表情には寂しさがにじんでいた。

 漫才師としての矜持を示す中川家は、平成最後の大賞受賞者となった。礼二は「連覇できたらいい。『令和』第1号になりたい」とV3に色気を見せた。祝福に訪れた親交の深い俳優・渡辺徹(57)からは「5連覇、6連覇して殿堂入りして欲しい」と期待を寄せられた。これまでの最多受賞は阪神・巨人の4度。円熟期に入った2人なら、記録を更新する可能性は大いにありそうだ。(デイリースポーツ・大島一郎)

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