【野球】四国IL香川・鈴木陸 教員との“二刀流”でNPB入り目指す

 野球の独立リーグ・四国アイランドリーグplusの今季リーグ戦が3月30日に開幕する。2年連続の総合優勝を狙う香川オリーブガイナーズには、異例の“二刀流”でNPBを目指す投手が入団した。香川県にある私立・藤井中学で教員を務める鈴木陸投手(24)だ。

 今季から同リーグではこれまで認められていなかった、選手の兼業が可能となった。そのルール変更を利用しての入団で、教員として仕事を続けながら、野球でも夢を追いかける。

 香川県坂出市出身の鈴木は、身長178センチ、体重82キロ。藤井高から松山大に進み、捕手や外野手としてプレーしたが「小さいころからずっと、ピッチャーをやりたいという気持ちがあった」という。その願望をかなえるため、卒業を控えた2017年2月に渡米。カリフォルニア州で開催されるウインターリーグに投手として参加した。

 「いろんな国から選手が集まってきて、12チームに分かれてリーグ戦をします。僕は当時、真っすぐが133キロくらい。打たれはしたけど、ボコボコにされたわけでもなかったですね」

 メジャーのスカウトも集結するウインターリーグで約3週間、10試合に登板した鈴木は帰国後、すでに採用が決まっていた藤井中学に社会科の講師として赴任。18年4月から教壇に立ち、野球部コーチにも就いた。ただ、米国で感じた手応えと情熱は簡単には捨てられなかった。

 「ピッチャーを続けたいという気持ちは大きくなる一方で、あきらめる理由が見つかりませんでした」

 教員として忙しい毎日を送る中、一人でトレーニングを続けた。野球部の練習が終わったあと、毎日午後9時まで、だれもいない学校の体育館でネットに向かってボールを投げ込んだ。孤独な努力が実り、昨秋、地元の独立リーグ球団・香川のテストに合格。学校側の理解も得て、講師として仕事を続けながらの入団が実現した。

 「私立中学だからできることではありますが、理解していただいた学校には感謝しかないです」

 シーズン中は授業の数を減らしてチームに帯同。試合のない日も全体練習に参加し、夕方は藤井中野球部で指導を行う。学校からも、独立リーグでの経験を生徒たちに還元することを期待されており「当たり前のことだけど、野球も教員の仕事も全力で取り組むつもりです。生徒たちにとって、良いお手本になれたら」と話す。

 コツコツと続けてきたトレーニングの成果で、直球の最速は143キロまで伸びた。変化球はカーブ、フォーク、ツーシームを操る。「1試合でも多く投げて成長したい。目標はNPB。簡単なことではないのは分かっているけど、あきらめなければ夢はかなうということを子供たちに示したい」。異色の二刀流右腕のチャレンジに注目だ。(デイリースポーツ・浜村博文)

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