【野球】センバツ出場校監督が考える高校野球投手の球数制限

 「第91回選抜高校野球大会」(23日開幕、甲子園)は15日、組み合わせ抽選会が行われた。対戦カードが決まり、いよいよ真剣勝負の幕開けとなる。オフシーズンには、新潟高野連が今春の新潟大会で球数制限の導入を目指すことが大きな話題を呼んだ。賛否両論ある中で、センバツに出場する高校を率いる監督もこの問題に関心を寄せている。

 山梨学院・吉田洸二監督は球数制限の是非に関係なく、「これを機にもっと指導者が未来ある生徒の体を壊さない意識を持ってくれれば」と議論されていくことを期待した。自身としては「1日300球を投げるより、150球を(連投で)2セットの方がしんどい」と、球数よりも連投が続く方が選手への負担は大きいと考える。

 現場を預かる身として、単に試合だけで球数を制限すればいい問題ではないとも実感する。新潟県高野連が定めたのは「1試合100球」だが、実際には登板中の投手はイニング間の投球練習をするのが通例だ。控え投手もブルペンで肩を作ることが必要。当然、記録には残らない“球数”はかさんでいく。

 清峰(長崎)時代の09年春には、今村猛投手(現広島)を擁して全国制覇を達成した。このときエースは全5試合に登板し、4完投(うち3完封)。41回で球数は627球にのぼった。右腕に託した理由は、実力への信頼だ。「(投球)フォームがいいから。ギアチェンジもできる」と吉田監督。08年秋の九州大会ではユニホームを忘れた今村が試合直前に球場へ到着し、わずか7球の準備で好投した逸話もある。

 公立校の名門・習志野(千葉)を率いる小林徹監督も、球数制限を導入した場合のルール作りへの課題を挙げた。「100球だったら1日空けなければいけない。70球だったら2日連続で投げられますよみたいな、結局そうやってシステムを作っていかなきゃいけない」。

 昨秋はプロ注目右腕の飯塚脩人投手(2年)を中心とした継投策で勝ち上がってきた。ただ、「うちは投げられるピッチャーみんな投げろっていう風なスタイルでやっているんですけど、そうじゃないチームだってたくさんあるわけで」と選手層の薄い、公立校の立場を代弁した。

 事実、昨夏の甲子園では公立の金足農(秋田)が準優勝した。“カナノウ旋風”の立役者は、もちろん吉田輝星(現日本ハム)。「吉田君が(肩などを)壊したかっていったら壊していないし、逆にドラフト1位じゃないですか」。大舞台での飛躍が、選手の道を切り開く可能性も十分に理解する。

 両監督の前提としてあるのは、指導者が選手の故障防止に努めていく重要性だ。「子どもたちの健康管理に関しても当然、責任を持たなきゃいけない」と小林監督。新潟高野連に端を発した今回の問題から、選手のケガを防ぐ取り組みがより進んでいくことを願う。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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