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【スポーツ】人柄がにじんだ玉鷲の初優勝 バンザイ写真、パレード、そして家族愛

 笑顔でファンに手を振る玉鷲。左は旗手の輝
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 平成最後となる両国国技館での本場所となった初場所(27日千秋楽)は異色の“苦労人”関脇玉鷲(34)=片男波=が初優勝で幕を閉じた。モンゴルから相撲どころかスポーツ経験もなく角界入りし15年。気は優しくて力持ちを地で行く力士の快挙は感動を呼んだ。

 優勝を決めた千秋楽。その日の朝4時40分にエルデネビレグ夫人(32)が第二子となる次男を出産するという奇跡的な巡り合わせ。Wのおめでたとなった優勝一夜明け会見では人柄がにじんだ。

 優勝力士が賜杯を抱いて家族、知人らが集合して撮る恒例のバンザイ写真。当然、夫人は出産直後で病院にいた。「一緒に写真に写りたかった。バンザイしたかった」との愛情から玉鷲は自身の隣のスペースをわざと空けた。後で夫人の写真がそこに収まる“合成”を可能にした。

 妊娠が分かった時から出産予定日は千秋楽の1月27日と分かっていた。「立ち会えないからやばい」と思っていたが、まさか優勝がかかった日になるとは…。「相撲に集中して」と言う愛妻に促され、玉鷲が一時帰宅した時に生まれた。その時には夫人から無事出産を意味する「絵文字」が送られてきた、という。「奥さんが頑張った。今度は自分の番」と奮い立った。

 優勝力士は夜、自宅に戻ると長男テルムン君(2)と父子2人。大きな父の胸ですやすやと眠る愛息を見ながら幸せに浸った。料理、小物作りが趣味の玉鷲は翌朝、家事。「何でやらないの、やるでしょう」と、得意の“女子力”を発揮した。

 優勝パレードの話に及ぶと、顔をほころばせた。パレード中は旗手の幕内輝(高田川)と「最高だな」、「最高っすね」とずっと感激に浸った。「昔から優勝したら輝と決めていた。昔、自分の付け人をやっていた。その時に新十両に上がった。ずっと彼を見てきた」と義理堅い男は約束を忘れなかった。

 初土俵から1回も休場がない。現役最多1151回連続出場の鉄人を支えるのはやはり家族愛。師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「場所後に家族と旅行に行くのが楽しみ」と明かす。

 3年前、右膝を負傷しそんきょもできない程だった。休場を訴える玉鷲に「休んでいいよ。その代わり旅行は行けないよ」と伝えたところ、「やっぱりできます」と一転。そんきょもできていたという。その後も、家族旅行をモチベーションに何度も休場危機を乗り越えてきた。

 「玉鷲にとっては、家族との時間の方が大事。だから、何かそういうモチベーションがあればずっとできます。今回、子供が誕生するというのがあって優勝するんだから」と親方。師弟ともにレジェンド旭天鵬(現友綱親方)が持つ40歳10カ月の幕内最高齢(年6場所制となった1958年以降)超えに意欲十分。場所後の“ニンジン”があれば、可能性は十分ある。(デイリースポーツ・荒木 司)

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