【野球】指導者からも愛される“新井さん”大学時代の恩師が語るその魅力

 今季限りで現役を引退した広島・新井貴浩内野手は2015年に古巣へ戻って以降、精神的支柱としてファンからもチームメートからも愛された。来年3月には引退セレモニーの実施も決定。人気ぶりが改めて証明される中、大学時代の恩師である駒大・太田誠終身名誉監督の話で指導者からも同じように愛される一面を知った。

 太田氏は「当時教えた人間として、ご苦労さんだなと。だって大木に過ぎなかったんだもん(笑)。それだけに立派」と自慢の教え子の話となると、笑顔が尽きなかった。

 出会いから印象が強い。当時の広島工・宮川昭正監督に頼まれ、新井のプレーを見ることになった。引かれたのは技術よりも練習態度。「この子は何かを持っているぞ、というのは全体を見てね。それでうちに来なさいと言った」と師弟関係が始まった。

 体は人一倍大きいものの、三振や失策などのミスも多い。ただ、「へましようと、使いたくなる人間なんだよ。その魅力たるものは、人間としての実直さ、熱情を持っているから」と不思議と起用しようと思わせる選手だった。

 決して完璧ではなくても、指導者好みの魅力が詰まっている。「とにかく新井の人間性に何かこっちが入り込んでいくような気になっちゃうな。何か童心のものを持っているのよ」。常に自分には足りないものがあると努力する姿は、プロに進んだ後も変わらないように映っていた。

 教え子の中でも、新井の人柄は際立っていた。「会ったら絶対忘れられない人間。一人たりとも粗末にするような人間じゃないな。そういう風な考え方を持っていないかな」。出会った人々たちとのつながりを大事にし、人との縁も自らの力へと変えていこうとする姿勢に目を見張った。

 16年の2000安打達成やリーグMVPの活躍に感心しながら、恩師だからこそ身に染みた思いがある。「使ってきた監督、コーチがえらいと思うの。言葉の上ではね、失敗を恐れるな、みんな言いますよ。新井はあり過ぎちゃうじゃん。それをよく使っていると思うんだよ」。自らがそうだったように、プロ入り後も指導者の心をつかんだのだと想像した。

 太田氏からは、新井の魅力を語れば語るほど止まらない様子がうかがえた。「えらぶったりするところはないからあいつは。きょうはほめ過ぎたというような気持ちはない」。今後はまた新たな道を進むであろう教え子に対し、「語り継がれる人間じゃないのかなあ」と変わらぬ活躍を期待した。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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