丸が巨人移籍決断…さらば愛したコイ 決め手は原監督のラブコール

 国内FA権を行使した広島・丸佳浩外野手(29)が30日、マツダスタジアムを訪れ、巨人移籍を表明した。地元千葉のロッテ、宣言残留を認めた広島も選択肢にあった中で、巨人・原辰徳監督(60)のメッセージが移籍の決め手になったという。2年連続リーグMVPに輝きリーグ3連覇に大きく貢献した不動の3番打者が、11年間在籍したチームに別れを告げた。

 悩み抜いた末、巨人移籍を決断した。7日に国内FA権の行使を表明してから23日。午後、スーツ姿でマツダスタジアムを訪れた丸は「ジャイアンツにお世話になろうと思います。いろいろ悩んで、最終的に野球人として環境を変えて、また一から勝負したいという気持ちが出てきました」と明かした。

 残留か移籍か-。巨人からは5年総額35億円とされる高い評価を受けた中で、決め手となったのは原監督のラブコールだ。初交渉の席で「カープでやってきたいいものをジャイアンツに持ってきてくれたらいい。まだまだ長い野球人生の中で絶対プラスになる」と熱く口説かれ、心が揺り動かされた。29日夜に最終結論を導き出すと、この日朝、原監督に電話で「お世話になります」と報告。「一緒に頑張っていこうな」という言葉に決意を固めた。

 義理堅い男らしく、最後まで筋を通した。熱心に誘ってくれたロッテ・井口監督にも直接電話。松田オーナーの元に足を運び、入団当時を懐かしんだ。交渉相手の鈴木球団本部長に対しては複雑な心境だ。「誠意を持って話をしていただいた。こういう結論になって申し訳ない気持ち」と神妙に話した。

 そんな丸が珍しく声を詰まらせるシーンがあった。チームメートへの報告を聞かれると、阪神にFA移籍した経験を持ち今季限りで引退した新井貴浩氏から「移籍するのは寂しいけど、俺はお前の味方だから、どこにいても応援しているし頑張れ」と激励されたと明かした。丸にとってカープは「本当に家族のようなチーム」。人一倍の愛着があるからこそ、思わずこみ上げるものがあった。

 鯉党へは「こんな選手を応援してくれたことに感謝したい。ここまでやってこられたのもファンの皆さんの声援があったおかげ。来季は敵チームになってしまうけどいい意味で恩返しができればと思います」と頭を下げた。くしくも来季開幕戦はマツダスタジアムでの広島-巨人戦。「背伸びしてもプレースタイルを変えられる選手ではないので、自分のできることを精一杯やっていけたらと思います」。ファンへの感謝と新天地への決意を口にして、丸が広島を去った。

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