【スポーツ】元ブラジル代表、J1名古屋のジョーに凝縮された点取り屋の高い技術

 サッカーのJ1名古屋に所属する元ブラジル代表FWジョーの勢いが止まらない。今季から加入したブラジリアンは、26日のリーグ第24節・浦和戦(豊田ス)で5日のG大阪戦(豊田ス)に続いて、2度目のハットトリックを達成。8月に入ってのリーグ戦では出場5試合で合計10得点と、6連勝中のチームをけん引している。屈強なフィジカルも大きな武器であるジョーだが、その得点シーンからは王国・ブラジルの代表にまで登り詰めた、点取り屋としての技術の高さも凝縮されている。

 ジョーは身長192センチ、体重97キロという大型のストライカーだ。ゴールラッシュとなった8月最後のリーグ戦となった浦和戦、前半44分に味方MFガブリエルシャビエルのふわりとしたFKを高い打点で捉えて、ヘディング弾をたたき込んだ。一見すると、圧倒的な身体能力でねじ伏せた形にも見えるが、そこには高度の駆け引きも存在する。マークについた浦和DF岩波は「もちろん空中戦の強さはある。上でも止まれる(滞空時間がある)し、体も強い。あとは背後を取る能力があった。最後にしっかりと決めてくるのがジョーの能力やなと思いました」と振り返る。

 高い弾道のボールに対して、すっと相手DFの背後へと回り込み、視界から消える。気づいた際には既にジョーは空中を舞っていた。せめて体勢を崩そうと体をぶつけようにも、体の強いジョーはびくともせず。長身選手がヘディングで競り勝ったというだけのゴールではなかった。

 続く2、3得点目は左サイドからのクロスを合わせた形だったが、その2発とも浦和DF槙野の背後を見事について最後はゴールへと押し込んだ形だった。チームを率いる風間監督は、得点を量産するジョーに対して「ジョーは力だけで点を取っているわけではない。浦和戦の3得点はすべて相手の背後に入っているわけですから」と解説。8月に入ってゴールが急増していることには「周りの選手たちも、ジョーがどうフリーになっていて、出し手もそれが見えているから増えてきているのではないか」と語った。

 確かにジョーは屈強だ。ただ、強さだけではカナリア軍団(ブラジル代表の愛称)のユニホームに袖を通すことはできないだろう。まだまだ多少のムラっ気も感じさせる部分はあるが、イニエスタやポドルスキ(共に神戸)、フェルナンド・トーレス(鳥栖)らと同じく、世界レベルで戦ってきた経験を持つ選手だけに、決定力不足を永遠の課題とする日本が学ぶべきものは多い。(デイリースポーツ・松落大樹)

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