【野球】時代に合ったチームづくりで復活を目指す名門・松山商

 この夏、第100回の記念大会を迎える夏の甲子園。その長い歴史を語る上で欠かせないチームの一つが、愛媛の名門・松山商だ。特に夏に強さを誇ることから「夏将軍」とも呼ばれ、1969年の決勝・三沢(青森)戦での「延長18回引き分け再試合」や、96年の決勝・熊本工戦での「奇跡のバックホーム」など、数々のドラマを演じてきた。

 その松山商も、ベスト4に進んだ2001年夏を最後に甲子園から遠ざかっている。近年も私立校の台頭もあって県内で苦戦が続いているが、チームを率いる重沢和史監督(49)は「特にこの100回大会は、松山商に頑張ってもらいたいと多くの方々に期待してもらっている。それを意気に感じて戦いたい」と愛媛大会に向けて力強く語った。

 同監督は今治西OBで、02年には川之江の監督として長身エース・鎌倉健(元日本ハム)らを擁したチームを夏の甲子園ベスト4に導いた。09年に初めてOB以外から松山商監督に就任。期待と重圧を背にチーム強化に情熱を注いでいるが、01年以来の甲子園出場はまだ果たせていない。

 再び聖地にたどり着くために何が必要なのか。日々考え抜いている重沢監督は、現チームから大きな“改革”を断行した。名門野球部に古くから受け継がれてきたしきたりの一部を廃止。特に「上下関係」のあり方を見直したという。

 キーワードは「率先垂範」だ。プレー以外の面でも3年生部員が下級生の見本となるように指導。たとえば、これまで1年生の仕事だったグラウンド整備や部室のそうじ、用具の準備や後片付けなどの「雑用」を、3年生が先頭に立って取り組むようにした。

 「そういったことは全部変えました。変えてすぐにチームが強くなるわけではないですが、やはり今の時代に合ったやり方は必要だと思います」。体育会の悪しき伝統を見直して成功した帝京大ラグビー部や日体大野球部を参考に、新しい組織作りに着手している。

 昨年末には県外研修として京都・龍谷大平安野球部を訪問。低迷期を経験しながら今なお往時の強さを維持しているレジェンド校から「大いに刺激を受けた」という。

 「ウチと同じように、ホワイトボードに『100回大会出場』と目標を書いて頑張っていました。監督さんも『死ぬ気でやる』とおっしゃってましたね」。

 時代の流れに揺れながら、復活に向けて試行錯誤を続ける松山商。今年のチームは「投打のバランスがいい」と重沢監督は手応えを感じている。投手陣はエース・入川翔投手(3年)を中心にまとまり、4番・山内敬太捕手(3年)ら打線もパワフルだ。夏将軍が再び強さを取り戻せるか。愛媛大会は7月10日に開幕する。(デイリースポーツ・浜村博文)

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