【野球】ヤクルトの交流戦好調支える「短期決戦仕様の割り切り」

 ヤクルトが交流戦で絶好調だ。7連勝するなど全カードに勝ち越して9勝2敗の首位に立ち、防御率もトップの2・70。セ・リーグ最下位に沈んでいた交流戦前から一変した。あっと驚く急浮上の要因は何だったのか。投打に共通して『短期決戦』として『割り切る』姿勢が快進撃を支えていた。

 ヤクルトの成績で、交流戦に入って最も良化したのは防御率だ。交流戦前は12球団ワーストの4・54だったが、交流戦の防御率は12球団トップの2・70。ここまでの11試合は、六回まではすべて3失点以下。たとえ先発がそれまでに降りても、救援陣がカバーしてきた。

 投手陣の踏ん張りはもちろん、配球面の変化がある。田畑投手コーチは「短期決戦なので」と考え方の一端に触れた。ある意味での『割り切り』だ。

 交流戦は各カード3試合。先発投手なら、年に1試合だけの対戦になる。打者には修正する時間がない。バッテリーは、長いシーズンをにらんで伏線を張るような配球をする必要がなくなる。マスクをかぶる中村は「弱点をとことん突けばいい。一戦必勝で全力を出す。勝負球、勝負球で、それを打たれたらしょうがない」と話す。

 攻撃も姿勢は共通する。石井打撃コーチは「割り切りは大事。短期決戦と一緒なので」と口をそろえた。打者に求めるのは積極性だ。狙いを決めた後は「初見の投手でも待たずに、積極的に打っていく。それで打てなくても、迷わせないことが大事」と明かす。

 2日の楽天戦では、則本の前に8回4安打、13三振を喫しながら勝った。二回は8番・中村がストライク3球を全て振って右前打で出塁し、続く荒木は初球をたたいて2ラン。下位打線の積極性で奪った先制点があった。

 チーム関係者が「あれはセ相手ならやらない。割り切っていると思う」と振り返ったのは、山田哲が今季15度目の企図で初めて盗塁死したプレーだ。3日の楽天戦。美馬の長く間を取ったセットポジションに早くスタートしてしまい刺された。ただ、これも後ろ向きな失敗ではなかった。

 スコアラーのデータの伝え方も、ポイントはシンプルに絞られているという。先手必勝、これと決めたら貫き通す『短期決戦仕様の割り切り』。調子が戻りつつあったチーム状況に、戦い方もかみ合い、ツバメ軍団は急上昇した。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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