【野球】東都大学野球の派遣審判員受け入れが生む効果

 プロ野球では今季からリクエスト制度が導入されるなどジャッジへの関心が高くなってきている中で、アマチュア球界でも新たな取り組みが始まった。

 東都大学野球春季リーグ戦・第4週第1日(1日・神宮)の立正大-中大1回戦。いつもとは少し違った光景が見られた。4人の審判団の中でひときわ目立つオレンジ色のユニホームをまとった球審。東都大学野球連盟初の試みとなった派遣審判員の受け入れ第1号として、北海道学生野球連盟所属の花田敬亮(けいすけ)審判員(32)が試合を裁いた。

 堂々と的確に試合を進行していった。花田審判員にとって神宮で球審を務めるのは初。「選手にのびのびと野球をやってほしい。その中でも時間短縮、メリハリに気をつけてやりました」とアマチュア野球公認審判員1級のライセンスを持ち、全国大会でも審判経験がある確かな技術でスムーズに試合を取り仕切った。東都大学野球連盟の村松忠審判部長(56)も「全然違和感なくやってくれた」と評価した。

 派遣審判員の受け入れの意図は各連盟に所属する審判員たちの技術交流だ。毎年のように甲子園出場の経歴を持つ選手らが集い、プロに進む逸材も数多くプレーする戦国東都。花田審判員は「球速、選手の動き、レベルの高いプレーを裁くのは勉強になる」と技術の成長につながることを喜ぶ。

 「北海道代表として最初に来られたことを誇りに、きょう学んだことを北海道の審判レベルの向上につなげたい」。派遣審判員として1試合を任された貴重な体験を所属する連盟に持ち帰り、審判員全体のレベルアップを図っていく。

 審判員たちの人員不足や高齢化も派遣審判員受け入れに踏み切った理由の一つに挙げられる。村松審判部長が「平均年齢が50歳を超えている」と頭を抱える深刻な問題。選手らと同様に全日本大学選手権などが開催される神宮は、地方の審判員たちにとっても特別な存在であることに違いない。肌で感じることで、花田審判員のような若手審判員の刺激につながることを願う。

 今年から始まったばかりで、運営については課題も見つかった。経費は現状、派遣する側の負担。当初は球審と塁審それぞれ担当してもらう予定だったが、帰りの飛行機の都合が合わず今回は断念するかたちに。各連盟とリーグ戦期間が重なっていればなかなか派遣しにくい可能性もあるだろう。

 派遣受け入れの案内状は東都大学野球連盟以外の25連盟に送付した。「もっともっと増やしたいと思います」と村松審判部長は今後の受け入れにも意欲的だ。来季以降、より動きが活発になることで審判員だけでなく、プレーする選手たちにもいい方向へとつながっていってほしい。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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