【スポーツ】2大団体時代は再来するか 全日本が聖地平均観客動員で新日本上回る

 あの熱狂の時代が帰ってくるのだろうか。4月30日にフィナーレを迎えた全日本プロレスのシングルリーグ戦「チャンピオンカーニバル」はノアから参戦した丸藤正道の初出場初優勝で幕を閉じた。

 今回は丸藤だけでなく、ドラゴンゲートの鷹木信悟、フリーの火野裕士、ZERO1でジェームス・ライディーンの名で活躍したディラン・ジェイムスら団体外からも大物が多数参戦。全日本ならではの大型選手によるど迫力の熱戦が連日繰り広げられて大いに盛り上がり、観客動員も好調だった。

 特に4月の最終週に3大会行われた“格闘技の聖地”後楽園ホールの観客数は、Bブロック最終戦の25日が超満員の1598人。Aブロック最終戦の29日も超満員の1605人。そして、30日は超満員札止めの1697人の大盛況。4月は新日本プロレスも聖地で4大会を開催したが、その平均観客動員数は約1481人で、全日本は一つ少ない3大会ながら約1633人と150人以上も上回った。

 もちろん、新日本は5月の福岡大会2連戦へ向けた前哨戦シリーズ、全日本は看板シリーズのクライマックスとあって単純比較はできない。だが、業界トップを独走する新日本を一時的でも上回ったのは、数年前は聖地の半分も埋まらないほどの苦境に陥っていた全日本の復調傾向を強く印象づけるものと言えるだろう。

 全日本と言えば、70年代から90年代に新日本と2大団体時代を築いた老舗。試合中継が毎週地上波で放送されていた両団体がしのぎを削った時代は多くのプロレスファンを生み、熱狂させた。この勢いが持続すれば再びそのような時代が訪れるかも知れないと期待したくなるが、現実は甘くない。それは全日本の秋山準社長は最も理解しているようだ。

 秋山社長はチャンピオンカーニバルを成功に導いたが、「いいメンバーが出てくれて、社長としては選手、ファンに感謝しています。うれしい。いろんなことが頭を…。でも、ウチで一番いいシリーズ。これで有頂天にならず、絶対にこのまま行くとは思っていないですけど、リング上は今日と同じような熱さでやっていきたい」と振り返りながら気持を引き締めた。聖地の観客動員が新日本を上回ったことも「動員が上でも、内容が問題だと思う。みなさんが少しずつ内容を認めてくれてここまでなったと思うので、動員がどうのこうのじゃなくて、お客さんに喜んでもらえる試合を続けて行ければと思っています」と冷静に受け止めている。

 ファンにとってはプロレス界が盛り上がるのなら、一強時代でも他団体時代でもいいだろう。だが、レスラーがそうであるように、団体もライバルがいるから輝きを増すこともある。昭和の人間としては、もう一度“王道”と“ストロングスタイル”が並び立つ時代を見てみたいものだ。(デイリースポーツ・洪 経人)

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