【野球】オリックス球団創設30年イベントはなぜないのか?
オリックスの開幕戦は3月30日、ヤフオクドームで行われた。ドーム内は「ホークス球団創設80周年」の記念イベントで彩られていた。
南海-ダイエー-ソフトバンクと受け継いできたホークスの歴史。これを再認識するとともにレジェンドたちの功績に再びスポットライトを当てるというわけだ。南海OBの野村克也氏や江本孟紀氏も来場し華やかな雰囲気を演出していた。
そこで思い出した。今年はオリックスも球団創設30周年を迎えたはずだと。オリエント・リースが阪急電鉄から譲渡を受けたのが1988年11月。今年は記念の年になる。ところが、記念イベントはもちろん、球団関係者からも特別な年と位置づけるような発言を聞いたことがない。なぜなのだろうか?
今年1月に就任した湊通夫球団社長に聞いてみた。
「やりません。球団創設30年に間違いありませんが、だからといって記念イベントをする予定はありません。それをやっても自己満足にしかならない。ファンの方にも選手たちにも喜んでもらえるとは思えない。やるなら神戸移転30年を迎えたときでしょうか」
本拠地を西宮球場からグリーンスタジアム神戸に移したのは1991年。阪神・淡路大震災の起こった1995年にがんばろう神戸を合言葉に初優勝、96年には連覇、日本一を達成した。
「神戸に育ててもらった球団ですから。恩返しの意味でやりたいとは思います」
ファンと歓喜を共に経験した。だからこそイベントをやりたいのだという。
話の中、湊社長はスキーが趣味だった学生時代の思い出を披露してくれた。スキーツアーのバスの添乗員のアルバイトを始めたときのことだ。
「コツがあるんです。みんなを怒らせないことです。お客さん、バスの運転手、宿の人。アクシデントが起こったら先回りしてみんなが不満を持たないように交渉したり、提案したりするんです。だれも怒らなければアクシデントにはならないんですよ」
さまざまな立場の人に思いを巡らせる。イベントを成功させる秘訣(ひけつ)にもつながる考え方なのだろう。
他球団のさまざまな周年イベントを見るにつけ、物足りなさも感じてきたが、だれもが楽しめるイベント開催を目指すというのであれば、納得だ。神戸移転30周年を楽しみにしたい。(デイリースポーツ・達野淳司)



