【スポーツ】不祥事続出も人気が衰えない大相撲 注目してほしい力士は…

 大相撲は暴力事件など相次ぐ不祥事にも人気は衰えを知らない。11日に春場所(エディオンアリーナ大阪)初日を迎えるが発売即日、前売り券が15日間、完売。相撲熱の高い浪速っ子には、ぜひ幕内阿炎(あび)=23、錣山=に注目してほしい。

 仕切り前に行う四股がとにかく美しい。つま先までピンと張った足が頭の上まで高々と舞い上がり、見事なY字バランスでピタリと動かない。長い手足が本当によく映える。

 四股は現役では幕下宇良(25)=木瀬、幕内遠藤(27)=追手風=も鮮やか。現役時代の貴乃花親方(45)=元横綱=も美しかった。いずれの力士も土俵際の粘りや柔らかさに定評がある。一流の四股は体幹の強さの証明。相撲のうまさと無縁ではないのは確かだ。

 「(四股は)それが当たり前のルーティン。足の親指に力が入ることを確認できたりリラックスできる。四股がいい感じで踏めたら相撲も取れる」。そう語る阿炎も抜群の身体能力を誇っている。

 新入幕となった初場所は初日から2連敗したが3日目、38歳ベテラン豪風を突き出して幕内初勝利。その後は硬さが取れ、動きが切れていった。

 竜電(高田川)との新入幕対決を制し、大器の輝(高田川)も引き落として撃破。立ち合い、突き押しが強烈で時折、変化もする。押し込まれても回り込んで逆転につなげる勝負勘もいい。不利な体勢でも土俵を所狭しと暴れての逆転で大いに館内を沸かせた。

 12日目、千代丸(九重)を押し出し勝ち越し。9勝5敗で迎えた千秋楽、勝てば三賞が決まっていた松鳳山(二所ノ関)戦。突いて突きまくり、三役経験者を堂々と押し出した。「自分、懸賞の懸かった取組は今場所、2回しか負けていないですから」と、ここぞのプロ根性はピカイチだった。結局、2桁10勝まで星を伸ばし、敢闘賞に輝いた。

 しこ名は師匠・錣山親方(元関脇寺尾)の愛称から命名された。「タイフーン」と呼ばれた師匠譲りの突っ張りが持ち味だが、師匠は「右、左、右、左とリズムが足りない。リズムが出て来れば自分より強くなる」と、まだまだ成長することを確信している。

 「力士のイメージとかけ離れている」と師匠が嘆くように、支度部屋では天真らんまん。「ビッグマウスは小心者だから。大きなことを言うことで自分を盛り上げる。三賞?取りま~す」と、笑顔で言い切る。

 新世代の“四股名人”。「新タイフーン」が春の浪速でも吹き荒れそうだ。(デイリースポーツ・荒木 司)

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