【スポーツ】「激闘王」八重樫東が再出発、日本人初世界4階級制覇目指す

 元世界3階級制覇王者で、「激闘王」と呼ばれる八重樫東(大橋)が10月11日、現役続行を表明した。スーパーフライ級で、4階級制覇を目標に、年末にはノンタイトル戦で再起する予定だという。

 正直言って驚いた。「引退」の可能性が高いのではないか、と思っていたからだ。IBF世界ライトフライ級王座を失った5月のミラン・メリンド(フィリピン)戦のKO負けはそれほど衝撃だった。1ラウンド中盤から3度のダウンを喫するTKO負け。壮絶な散り方に、過去の激闘や34歳という年齢がボクサーとしての反応を鈍らせてしまったのではないかと疑った。

 大橋秀行会長も八重樫の進退については本人任せにはしていなかった。「負けた次の日に練習に来て『やらせてください!』と言うんだ。ボクサーというのは、負けた後興奮しているケースが多いので、体力、気力を見極めて、よく考えてから本当の答を出せ、と言った」と、簡単に許さなかった。

 それどころか、その後ジムで八重樫と顔を合わせる度に「ご苦労さん」と、引退選手をねぎらうように声を掛けたのだという。「おれと顔を会わすのがいやだったんでしょう。(自分が不在の)午前中に練習に来ていたみたい」(大橋会長)という。

 だが、日を追うごとに「自分の気持ちと正直に向き合ったとき、このまま辞めるのは納得がいかない」という八重樫の気持ちは固くなっていった。「いろいろな人から引退した方がいい、体の方が大事だ、壊れる前に辞めるべきだ、と言ってもらいましたが、一番は自分の気持ちだった」と、大橋会長に現役続行を直訴した。

 後輩で元東洋太平洋ミニマム級王者の原隆二とのスパーリングが決め手となった。「ダウンを取るようなできだったので復帰を許可した」(大橋会長)という。しかし、条件付きだ。「これからもスパーリングでダメージがあるようなら即引退。そこはしっかり見ていく」と、くぎを刺している。

 日本人初の世界4階級制覇を目指すという八重樫。「激闘」が心配だが「そこは修正したい。打ち合いに凝り固まらず、いろいろできるところを見せたい」と新たなスタイルを模索すると言う。ベテランの再出発を見守りたい。(デイリースポーツ・津舟哲也)

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