【芸能】インディーズの大物・スカートがメジャーデビュー【中】音楽の歴史に何かを残せたら

 ポップミュージックを知り尽くしたソングライティングと陰影ある歌詞、独特の歌唱がインディーズシーンで人気を博してきた澤部渡(29)のソロプロジェクト(公式サイトでは「不健康ポップバンド」)「スカート」が18日、アルバム「20/20」でポニーキャニオンからメジャーデビューを飾る。インディーズ時代からメジャー級の存在感を発揮し、ついにメジャーシーンに姿を現す大物・スカートの単独インタビュー、その中編をお送りする。

  ◇  ◇

 -澤部さんは1987年生まれですね。誕生日は。

 「12月6日です」

 -30歳になる年にメジャーデビュー。節目と感じますか。

 「もちろんもちろん。逆を言えば、若者ぶれるのもここが最後かなっていうのもあるので。もともと若者っぽくないので何とも言えないですけど。求められているうちにやれるんだったら、そこに飛び込まなくちゃという気持ちはありますね」

 -ポニーキャニオンへの思い入れはありますか。

 「音楽聴くようになって最初の方に記憶があるのが、光GENJIなんですよ。光GENJIとチェッカーズを幼少期にむさぼり聴いてて。ポニーキャニオンの昔のロゴがあるじゃないですか、PとCの。あれがホントに好きなんですよ。なんか縁がつながった感じがしますよね。うれしかったです。CHAGE&ASKAさんとかもすごく好きなんで。一番メガヒットしてる頃のカタログが、ポニーキャニオンさんは多いんで」

 -これまでにも何度かメジャーから声がかかったのでは。

 「本当に単純に『興味がある』みたいな感じで連絡が来て、ライブとか招待して、見てもらってあいさつして、その先がないみたいなのが多いですよね。そういうのは何回かありました。だから僕、本当にギリギリまで正直、『またなくなるんだろうな』と思っていて。編成会議を通ったって話を聞いて、『おお、じゃあそうなんだ』って思って。もっと目先の利益で売れそうなバンドがいくらでもいますから」

 -心が折れそうになったことは。

 「ありましたよ、何度かは。初めてすぐの頃はライブに人が全然来なかったりしてた時期もありましたし。人も来ないし、なんかライブもうまくいかないみたいな時期もあったんで、そういう時はちょっと心が折れましたね。今考えると甘いんですけど、もっとちゃんとやれよとか思うんですけど。

 もう一度は、しばらくして、バイトも辞めて音楽一本になってしばらくたった時に、意外とお金がないみたいな、すごいお金がない時期があって、その時は心が折れましたね。何でこんな苦しい思いしてまで音楽一本でやるんだ?みたいな。何とか続けなきゃ、とにかく続けることにしか出せないものっていうは絶対にあるって思い込んでいる節があるので、そこは『自分を信じてみよう』と思ってまた何年か頑張ったら、ちょっとずつ結果が出るようになったので、良かったなあと思っています」

 -音楽一本で生活できるようになったのはいつからですか。

 「2013年に実家を出て、そこからは何とかやっています」

 -この時代にメジャーデビューする意味合いは。

 「すごく難しいんですけど、例えばSuchmosとかだったら、新しく何かをやっているっていう感じが目に見えてわかると思うんですけど。僕の音楽っていうのは、全く新しくはないというか、僕としては新しいことやってるつもりなんですけど、パッと見は全然新しくないんですよ。インディーズでやってるとそれはそれでいいんですけど、波及力が違うんじゃないかと思って。僕もこれからメジャーに行くのでわからないんですけど、より聴いてくれる機会が増えるというのは、自分の音楽にとってとってもいいことなんじゃないかと思って。それが一番ですかね」

 -目指すところ、期待するところは。

 「全く新しく聞こえない音楽をやっているので、僕みたいな音楽がもしメジャーなフィールドで何か一つ成果を出せたとしたら、やりやすくなる人たちって本当に多いと思うんですよ。そういうのができたら一番いいんですけど、ちょっとそれは思い上がりなんですよね。そこに何とか、何かを投げかけるようなことができたらいいなと。音楽の歴史の中にね、ほんの少しの小石でもいいんで、何かを残せたらと思います。そういう意味ではあんまりメジャーもインディーも関係なくて、ただひたすらいいレコードを作りたいという、そういうところに尽きますね」

  (【下】に続く)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス