【野球】広島退団決定の石井、河田両コーチ門下生が日本一誓う

 グラウンドにはいつもと変わらない光景があった。リーグ連覇を支えた石井打撃コーチと河田外野守備走塁コーチの退団が発表された5日、野間は息を切らしながら、愛情あふれる河田コーチのノックを浴び続けていた。

 今季は胃がんから復活を目指す赤松に代わり、代走の切り札としてリーグ連覇に貢献。俊足を武器に10盗塁を決め、34得点をマークした。シーズン序盤は代走で出てもスタートを切るタイミングに迷いが生じていたというが、河田コーチの「思い切ってやろう!こっちの責任だから」という言葉に背中を押された。たとえ失敗に終わっても、根拠があればOK。野間も相手投手の研究を重ねるなど、日々進歩を見せ、存在感を増していった。

 課題とされる打撃は石井コーチが付きっきりで指導してくれた。シーズン中、マツダスタジアムでの早出特打は日課。ひたむきな姿勢で教えを守り、少しずつ手応えもつかみつつある。「まだ全然ですけど、その中でしっかりやってこられた。(石井コーチは)秋はもういないですけど、言われたことをやっていきたい」。単身赴任中の両コーチとは寮も同じ。試合後は食堂でテーブルを囲んだという。朝から晩まで顔を合わせ、「ずっと一緒でしたね」と笑った。

 2年目の西川も両コーチの門下生だ。今季は打率・275、5本塁打、27打点と成長。「(石井)琢朗さんには打撃全般を教わりました。それで良くなったので」。レギュラーシーズンでは勝負強い打撃で何度もチームを救った。安部の離脱でCSでは三塁レギュラーの候補筆頭に挙げられる。西川は「出るつもりでやっています」と自覚も十分だ。

 「プロは違うなあと思いました」と振り返るように、プロ1年目の昨季は驚きの連続だったという。河田コーチからは基本的な走塁技術から、細かい部分まで徹底的たたき込まれた。西川は「来年もやり方を変えようと思わないし、変える必要もない。教わったことを来年できていれば、成長したと思ってもらえると思う」とさらなる成長を誓う。

 野間も「まだ僕らには目標がある。日本一を目指して、最後まで吸収できればいい」とどん欲に話す。「石井・河田塾」は今季限り。さびしさは募るが、それ以上に恩返しの思いが強い。2人のイズムを継承し、日本一という最高の形で送り出す。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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