【野球】広島・新井 七夕の夜に奇跡を起こした「みんなすごかった」

 広島が37年ぶりのリーグ連覇を果たした。1つのターニングポイントとなったのが最大6点差を逆転した7月7日のヤクルト戦だ。七夕の夜、神宮球場で奇跡が起こった。

 「バティが本塁打を打って、キクも本塁打打って、丸が四球…」

 七夕の夜のヒーロー・新井は鮮明に攻撃の流れを覚えている。普段は打席が回ってくる直前までベンチ裏にあるモニターを見ながら準備するが、その試合は菊池が本塁打を打った後、不思議とベンチに座っていたという。

 「虫の知らせじゃないけどね。ベンチにいてずっとタイミングを合わせていた。石原はそれを見てたらしい。『そういえば新井さん、早い段階から来てましたね』って」

 5点を追う九回だ。バティスタ、菊池のソロ、松山の適時二塁打で3点を返し、さらに西川が執念の内野安打で続いた。なおも2死一、三塁の好機に新井が代打で登場。打席に立ち、守護神・小川と向き合う。興奮状態の中でも、頭は冷静だ。集中力を極限まで研ぎ澄まし、もう1人の自分とこんな“会話”を交わしていたという。

 「追い込まれたらきついぞ、一発で仕留めないとやられるぞ」

 「大振りするなよ、コンパクトに振れよ」

 「ストライクからボールになるところに投げてくるから、そこは見極めろよ」

 結果は逆転3ラン。弾丸ライナーがバックスクリーンへ突き刺さった。ベテランがここぞの場面で勝負強さを発揮。この劇的勝利からチームは一気にV2ロードへ突き進んだ。

 「すごいよね。自分が打ったからじゃなくて、あの点差を最終回で。しかも小川君からっていうのが。客観的にみんなすごかった」

 興奮から珍しくその夜はなかなか寝付けなかったという。翌朝、携帯電話を開くとたくさんの祝福メッセージが届いていた。新井は「今までの本塁打の中でも印象に残るね」と感慨深げに振り返る。今年は「苦しい時にチームを救う一打を打ちたい」と言い続けてきた。まさにその言葉を体現する一発だった。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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