【野球】ロッテ伊東監督、勝負師の顔 思い出す叱咤激励「同じ環境にずっといると成長しない」

 ロッテ・伊東勤監督(54)が今季限りでの辞任を表明した。同監督のもとで担当記者として2014年から2年間を取材したが、思い出されるのは、3年前の秋季キャンプ。引き続き翌年もロッテを担当することが決まり、指揮官にその旨を伝えたときのことだった。

 「来年も宜しくな」との言葉とともに、ロッテ担当歴通算7年目を迎えようとしていた記者に、伊東監督はこう続けた。「同じ環境にずっといると、どうしても“慣れ”が出てくる。慣れた場所だと人はつい居心地がいいと思ってしまいがちだけど、そう思ったらダメだよ。思った時点で、成長しなくなるから」。

 伊東流の叱咤激励に、思わず襟を正した。現役時代、常勝西武の頭脳として14度のリーグ優勝、8度の日本一に貢献した指揮官にしてみれば、当然の思考回路だろう。プロ野球史を彩ったその偉業は、相手に研究される中でも1年1年、貪欲に進化をし続けることで成し遂げてきた。経験に裏打ちされた言葉は、重たく響いた。

 よくこんな話もしていた。「現役の頃はね、リーグ優勝することはもちろん、シーズンが始まる前から、どうやって巨人を倒すかを考えていたよ」。勝つことを宿命とされる中、絶えることなく高みを目指すことで、輝かしい西武黄金期を築いてきた。一寸の妥協も許さない勝負師・伊東の真骨頂がここにある。

 昨季までのロッテ在任4年間で、3度のAクラス。決して豊富とは言い難い戦力を率いて、この成績は立派だ。だが、常に頂点だけを見続け、目指す伊東監督にとっては、この程度では満足していないだろう。

 球界関係者の間では「勝負度胸がすごい。限られた戦力の中で、強い相手にも決して引かないし、勝ち方を知っている」と、その手腕への評価は変わらず高い。今年1月には野球殿堂入りを果たした。伊東監督の知識、経験、勝負勘を生かす場所は、これから、まだまだたくさんあるはずだ。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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