【スポーツ】伝統芸の初っ切り卒業の人気双子力士

 大相撲の巡業では初っ切り(しょっきり)という見世物がある。幕下以下の力士2人と行司が土俵で相撲の禁じ手を面白く紹介するもので、江戸時代から続くお笑い劇。そんな歴史ある伝統芸に名を刻んだ人気の双子が初っ切りを卒業した。

 貴乃花部屋に所属する一卵性双生児の貴公俊、貴源治の兄弟。弟の貴源治が夏場所(14日初日、両国国技館)で新十両に昇進したため、4月30日、千葉県・幕張メッセで開催された春巡業で共演はフィナーレとなった。

 土俵入りでこけるのはお約束。蹴ったり、力水を吹きかけたり、プロレス技にハリセンも飛び出す。3カウントを行司が取る。そんな何でもありの“相撲コント”を双子が演じるのはもちろん史上初。似すぎてどっちがどっちか分からないのを笑いに変えていた。

 たびたび入れ替わるから観客も混乱。最後は行司が勝ち名乗りを間違える“お約束”で爆笑締めだ。「ミスがなかったから100点」と“卒業公演”のデキに声をそろえた。

 巡業部長の師匠・貴乃花親方(元横綱)から指名され、昨年8月の仙台市巡業から始まった。弟は「僕らにしかできないこと。新鮮な気持ちでやった」と言えば、兄も「土俵の上は勝つか負けるかの苦しいことしかないけど(初っ切りは)楽しかった。お客さんが笑ってくれればうれしい」と充実の表情だ。

 双子ならでは、相手の気持ちも手に取るように分かる。ミスした時は「お前が間違えた」、「お前もあの時が良くない」と、互いに怒鳴り合ってケンカばかりした。勝負の世界。出世を争うライバルながら、初っ切りでは兄弟に戻れる貴重な時間だった。

 兄は東幕下25枚目。番付では弟に先を越され、「危機感を持って弟に追い付く」と目の色を変えている。次に目指すは史上初の双子関取。相撲史を刻むツインズの進撃はまだまだこれから。ちなみに2人を見分けるコツは唇の右上にほくろがある方が兄だ。(デイリースポーツ・荒木 司)

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