【野球】ロッテ・スタンリッジの謙虚で感謝する心 日本で成功する秘けつとは

 言うまでもなく、プロ野球の第一線で長く活躍するのは難しい。それが外国人選手であればなおさらだ。

 ロッテの右腕、ジェイソン・スタンリッジ投手。38歳。07年にソフトバンクでスタートして米球界を経て再び来日。阪神から古巣のソフトバンク、16年からはロッテに新天地を求めて、今年で日本球界在籍10年目だ。通算成績は72勝64敗。

 区切りの10年目。日本で長くやってきたキーワードは“感謝”の2文字だった。

 「野球をしっかりとやってシーズンを終える。オフにしっかりトレーニングする。1年1年その繰り返し。一生懸命やってきた」と振り返り、こう話した。「妻(ジョイさん)に感謝している。自分の仕事に専念して、日本で成功できたのは家族のおかげだと思う」。

 本拠地での登板後はジョイさん、長男キャッシュくん、そして15年に養子に迎えた神戸の児童養護施設出身のケインちゃんたちとの仲むつまじい姿をたびたび見かける。一家の長としての笑顔は見るものを和ませる。

 思い出すのは昨年4月に亡くなった横浜(DeNA)の名渉外担当・牛込惟浩氏が、今でも球団最強の外国人と呼ばれる、R・ローズ内野手を獲得した際のエピソードだ。

 牛込氏は面談時にローズ一家をレストランに招待した。ローズは背広にネクタイ、子どもたちはキチンと盛装して現れたという。

 「自分を評価してくれたことに感謝の気持ちを持ち、家族とともにその気持ちを表したのだろう」と牛込氏は言い、「簡単なようでなかなかできないよ」と付け加えた。

 正式な契約だというのに、Tシャツにジーンズで現れて、「オレに任せればホームランを何本でも打つ」とビールを飲みながら豪語した助っ人候補もいたというが、牛込さんはパスしたという。

 相手に対する感謝の心。その心が仕事への原動力となる。持たない人間にいい仕事はできない。牛込さんはこう判断した。

 家庭人なら、その心は妻と子どもに向けられる。家族が仕事への原動力となる。

 われわれ日本人の男は妻と家族への感謝の言葉を口に出せない。いや、出そうとしない。でも、たまには言ってもいいか。日本で息の長い活躍をするスタンを見て思う。(デイリースポーツ・菊地順一)

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