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【野球】伝説のセカンドが侍・菊池に2つの注文

2次リーグのオランダ戦の7回、ボガーツの打球を好捕し、二塁へグラブトスする菊池(右)=撮影・出月俊成
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 「うまいなあ」-。WBC日本代表の1、2次リーグで好プレーを連発した菊池涼介内野手=広島=に、元阪神の名二塁手は感嘆の声を上げた。昭和30年代後半から40年代にかけ、阪神で吉田義男氏と二遊間を組んだ鎌田実氏だ。米国のキャンプでバックハンドトスやグラブトスを習い、日本で実戦した伝説の二塁手である。

 そんな鎌田氏が、菊池に2つの超スーパープレーを要求した。一つは、無死二塁の場面で三ゴロ併殺の完成だ。「走者は打者が打った瞬間、スタートは切らないが、三塁方向に体重がかかる。二塁走者と三塁手を結ぶ線より前の打球に限るが、菊池の肩があれば三塁からの送球を受けて走者にタッチして一塁に投げることができる」と説明した。

 二つ目は同じ状況での二ゴロで二塁走者を三塁で刺すプレーだ。「緩い打球は無理だが、ある程度速い打球で定位置から3歩くらい前を守っていれば、左右3メートル以内の打球だったら三塁で刺せる。投手が放るコース、打者が進塁打を打とうとしているかどうかを察知しないといけない。打球に応じて三塁で刺せるという判断力も必要。加えて肩の強さとコントロールが求められるプレーだが、菊池ならできるはず」と話した。

 「最近は守備でお金を取れる選手がいない。我々のころはシートノックでスタンドが沸いていた」。近年、口癖のように言っていた鎌田氏が、一昨年くらいから、広島に勤務する私に「菊池はうまいなあ」と何度も電話をしてきた。それほどセカンド菊池にほれこんでいた。

 身体能力の高さ、肩の強さはもちろんだが、好守を生むには「ポジションどりも必要」と言う。「投手が投げるコースや打者の特徴を理解し、判断力と洞察力が必要。打者がバットにボールを当てる前に一歩目を動かすことによってファインプレーが生まれる」と説明した。

 鎌田氏は現役時代、バックハンドトスを得意とした。しかし、近鉄に移籍してからバックハンドトスを当時の三原監督から禁止された。バックハンドトスされたボールを捕る遊撃手がいなかったという話もあるが「昔の日本にはサーカスプレーはこざかしいという風潮があった。合理的なプレーだと思うが、当時は許されない雰囲気があった。菊池にはメジャーに負けない合理的なプレーをしてほしい」とエールを送った。

 鎌田氏が提案した2つのプレーは、諸条件がそろわなければ成功しない。「だれもやってないんだから難しいよ。でもやろうという意欲がないとできない。菊池には守りの奥深さを求めてもらいたい」とさらなる進化を求めた。

 加えて「最近の野球は打撃中心になっている。野球ファンの興味も強打者にいく。そんな中で今回、菊池のプレーにみんなが守備への興味をもってくれたことがうれしい」と守備の名人は感謝の言葉を口にした。

 鎌田氏は現在、神戸市内で大学生と中学生の野球指導に携わっている。菊池が米国へ旅立った日「大学生が『鎌田さん、バックハンドトスとグラブトスを教えてください』というんで、教えてきたよ」と笑った。伝説のセカンドは、菊池のさらなる飛躍を期待している。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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