坂本花織がかつて倒した“魔物”と震えてアイライナーが引けなかった日 日本勢の“精神的支柱”として示した存在感

 「ミラノ・コルティナ五輪・フィギュアスケート女子・フリー」(19日、ミラノ・アイススケートアリーナ)

 女子フリーが行われ、今季限りでの現役引退を表明している坂本花織(25)=シスメックス=は、ショートプログラム(SP)、フリーともに2位の合計224・90点で銀メダルを獲得した。個人では前回北京五輪の「銅」に続く表彰台で、同競技では鍵山優真に並ぶ日本勢最多の通算メダル4個とした。今後は指導者として、自身が成し遂げられなかった金メダリスト育成に励む。SP首位の中井亜美(17)=TOKIOインカラミ=が219・16点で銅。世界女王のアリサ・リュウ(20)=米国=が226・79点でSP3位から逆転し、金メダルに輝いた。

  ◇  ◇

 すさまじい精神力を見た日がある。23年全日本選手権で坂本は泣いていた。「ほんま全日本嫌や」。SP1位ながらフリー前の公式練習でボロボロで、大会独特の重い雰囲気も漂っていた。周囲の記者たちと「大丈夫だよ」と慰めたが、正直かなり心配だった。

 数時間後、フリーを完遂して優勝し、安堵(あんど)の表情を浮かべる坂本を見て驚いた。リンクに入って「この場に立ったら言い訳は通用しない」と覚悟を決めたという。“魔物”にも負けない世界トップの切り替えを目の当たりにした。

 24年11月のNHK杯では、SP前に緊張でアイライナーが引けないほどの手の震えに襲われていた。ただ、先に滑った同門の壷井達也がSP3位に入ると、涙を流して歓喜し、自身は首位発進。オンラインで見た男子フリーはヘアアイロンを握りながら「(壷井が)4回転を降りるたびに叫んでいた」。隣の部屋だった青木祐奈から「すごい声が聞こえたよ」と言われるほど燃えたぎり、自身は大会を優勝した。

 今回の五輪にも“魔物”が出現し、その存在に涙した。苦しい心境の中でも仲間を気遣い、応援する姿は、日本勢の“精神的支柱”として存在感を示した。

 エキシビションは坂本が自撮りをするのがお決まりの光景。もう見られないのは寂しいが、今度はコーチとして、選手たちを明るく照らしてほしい。(デイリースポーツ・22~24年フィギュア担当・田中亜実)

関連ニュース

ミラノ・コルティナ五輪最新ニュース

もっとみる

    ミラノ・コルティナ五輪速報

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス