【五輪サイドストーリー】モーグル藤木豪心 やり遂げたディレクターとの二刀流 阪神戦中継のサンテレビでは期待のホープ

 「ミラノ・コルティナ五輪・フリースタイルスキー・男子デュアルモーグル・決勝」(15日、リビーニョ・エアリアル・モーグルパーク)

 初出場でサンテレビ社員の藤木豪心(28)=イマトク=は1回戦でミスなく滑りきったが、J・ハービー(オーストラリア)に先着を許し敗れた。

 晴れ舞台で、存分にモーグルを楽しんだ。試合を前に、藤木豪は日本代表チームの公式インスタグラムに「感謝の気持ちを込めて良い滑りを」と決意を記した。言葉どおり、支えてくれた人々にベストの滑走を届けた。

 五輪挑戦は一度諦めかけた夢だった。2018年の平昌は成績が及ばず落選。北京を2シーズン後に控えた20年1月には、カナダでのW杯公式練習で前十字靱帯(じんたい)を断裂。復帰に1年を要し、競技再開後も万全の滑りができず22年の五輪はかなわなかった。23年のサンテレビ入社時は「仕事との両立は無理」と一線から退くことを決断。しかし職場の後押しで、五輪代表との二刀流が実現した。

 ディレクターとして、これまでの主な担当はプロ野球・阪神や高校サッカー。シーズンオフに有給や代休で公式戦に出場したところ、昨年3月のW杯で五輪派遣基準をクリアした。上司に報告すると「本気で五輪を目指すなら休職という手がある」と助言され、仕事を調整してもらった。昨年10月からは休職して競技に集中することに。「『頑張って来い』と送り出してもらい本当に感謝している」とW杯でポイントを稼ぎ、期待に応えて日本勢4人の枠に入った。

 同局の名物番組は、阪神戦を試合終了まで中継する「サンテレビボックス席」。藤木豪は昨年夏から中継車での業務にあたっている。10台ほどあるカメラの映像から放送シーンを瞬時に切り替える、生中継のメイン業務だ。入社3年目で異例の早期抜てき。同社の石村雄史スポーツ部長は「選手の、その瞬間の気持ちやプレー。僕らに分からない深いものも、彼なら表現できるんじゃないかと。五輪を目指すのは分かっていたが、仕事でも一つ上のステージを経験するのがいいと思った」とアスリートの感性に期待して起用したという。

 W杯転戦中も、藤木豪の仕事用SNSグループには阪神情報がひっきりなしに入ってきた。「休職していても野球から完全に離れると戻ってからしんどいので、置いていかれないようにメッセージは見ていた」と、ディレクターとしての立場も忘れない。

 膝のケガからの復帰に携わった病院関係者やコーチ、職場の仲間、そして家族。競技人生を支えた人々の思いを胸に、集大成の五輪を終えた。

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