「北京五輪・カーリング女子・決勝、日本３－１０英国」（２０日、国家水泳センター）

　悔しさは残りつつも、日本初の快挙となった。女子決勝が行われ、世界ランク７位の日本は平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレが、世界ランク８位の英国に３－１０で完敗。平昌五輪の３位決定戦を争った相手に第７エンドで４点を奪われるなど劣勢が続き、雪辱されたものの金メダルこそ逃したが、銀メダルは男女を通じた日本の最高成績で、２大会連続のメダル獲得となった。

　神様が与えた運命の頂上決戦。苦しい幕切れも、最後までロコ・ソラーレらしく笑顔は絶やさなかった。序盤から小さなミスが積み重なった日本は、劣勢を覆せずに第９エンドを終えて７点差。負けを認めるコンシードを出して、初の銀メダルが決まった。「悔しい半分、うれしさ半分」とスキップ藤沢。形容しがたい感情は、笑顔からこぼれる涙となった。

　４年越しの大一番だった。英国とは平昌五輪の３位決定戦で対戦。最後は英国スキップ・ミュアヘッドの失投で日本の銅メダルが決まった。運命の再戦だったが、英国の正確なショットに対して、日本は精彩を欠いた。勝負どころの第７エンドでも藤沢が最終投をミス。一挙４点を許し、吉田知も「小さなミスが大きな差になった」と悔やんだ。

　「こんなに悔しい表彰式ってあるんだな」。表彰式で石崎の首にメダルをかけた藤沢は苦笑いした。それでも日本初の快挙に変わりはない。鈴木が「今は悔しさが大きいけど、時間がたって、もっとうれしさが増えてきたら」とかみ締めれば、「本当にしっかり重い」と吉田夕。２０年にチームに加入した石崎は「みんなのおかげ。こんな素晴らしいメダルまでもらって、本当に幸せです」と涙した。

　平昌五輪後、チームを取り巻く状況は大きく変わった。「負けたことが報道されるようになった」と吉田知。重圧も感じ、それぞれがスランプに陥ることもあった。

　綻びが最も出たのが昨年９月の北海道銀行との日本代表決定戦。代表切符に逆王手をかけられ、極限状態の中でチームは気付いた。「格好つかないんだからつけるのはやめよう。ロコ・ソラーレであればいい」。感情豊かに情報共有する、本来の強さを取り戻した。

　「みなさんが特に印象が強いのは平昌五輪だと思うんですけど、そのときに比べたら格段に技術も上がった」と藤沢。コロナ禍で海外遠征に行けない間も基礎を磨き、吉田知が「平昌の映像は今とは比べられないほど下手」と話すほど。それは、胸に輝く銀色の印となって現れたはずだ。

　「もし、今私が自分に声を掛けるとしたら『絶対いつかこの舞台に戻って来い』と言うと思います」と藤沢。平昌で銅メダル、北京では銀メダルだった。次こそは－。「手の届くところまで来た金メダルを今日触ることができなかった」。北京で何度も濡れた司令塔の目は、黄金の未来を見据えていた。