“僕はアイドルじゃない” 孤独と向き合った羽生の4年間

 「平昌五輪・フィギュアスケート男子・フリー」(17日、江陵アイスアリーナ)

 ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(23)=ANA=が206・17点をマークし、合計317・85点で男子では1948年サンモリッツ、52年オスロ大会のリチャード・バットン(米国)以来、66年ぶりの2連覇を成し遂げた。孤高の王者-。羽生にはその称号がよく似合う。この4年間、孤独との闘いが、羽生を強くした。

 ソチ五輪前年から仙台を離れ、練習拠点であるカナダ・トロントで生活。日本では熱狂的なファンが増え、行く先々で人に囲まれた。羽生は自らを「勝負師」と語るほど勝利を欲するアスリートの魂を持ち合わせているが、次第に環境は変わった。

 試合会場で気が休まる瞬間はなく、四方から降り注ぐ視線と黄色い歓声に戸惑いもあった。「常に緊張はしています。どこでも気が抜けない。ときどき、芸能人とかアイドルみたいな感じになって、違うなって思うことはあるけど…」

 心が弱ったとき、調子が上がらないとき、結果が出ないとき-。大勢の人が自らを取り囲むからこそ抱く“孤独”に、何度も心を折られそうになった。理想の自分と現状とのギャップにも苦しんだ。それでも、スケートから逃げようとはしなかった。むしろ羽生が選んだのは、ひたすらスケートに向き合う道だった。

 「スケートって、自分のツラいことや逃げたいことを忘れることのできる場所でもある。そういう意味では、スケートに頼りきりです。スケートがないと心がつぶれそうなこともたくさんある」。自らを孤高の地位へといざなったスケートは一方で、羽生を支える唯一無二の存在でもあった。

 そして万感の演技を終えた羽生は振り返って言った。「(自分を)褒める部分はないと思うけど、何よりも今日も滑って、やっぱりスケートやっててよかったなって思った」。迷い、悩み、もがきながらもたどり着いたスケートへの愛情が、再び羽生を世界の頂点へと導いた。

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