メダル分けた4回転の攻防 ハイリスク・ハイリターン

 フィギュアスケート男子は4回転全盛時代を象徴する戦いとなった。難度の高いジャンプに挑む勇気が求められ、失敗すれば大きなリスクを負う。高い技術を持っていても、心身とも万全でなければ4回転は何本も成功できない。金メダルの羽生結弦に続く、銀、銅メダル争いにも4回転ジャンプを巡る攻防があった。

 ▽宇野、攻めて「銀」

 宇野昌磨は4回転を恐れずに、挑戦し続け銀メダルをつかんだ。

 冒頭の4回転ループは転倒したものの、しっかり回転しており8点を確保した。「最初のジャンプを失敗して、思わず笑ってしまった」。この不敵さで「次から攻めることができた」という。2本目は、宇野自身が世界で初めて成功させた4回転フリップ。出来栄え点も上積みさせて13・87の高得点をゲット。基礎点が1・1倍になる後半にも、2度の4回転のコンビネーションを決めて、得点を上積みした。

 技術点は羽生を上回った。ショートプログラム(SP)3位から、同2位のフェルナンデス(スペイン)を逆転した。

 銅メダルのフェルナンデスは、前半は完璧だった。しかし後半に予定していた4回転サルコーが失敗して2回転になった。後半に4回転サルコーに成功すれば基礎点が11・55点で.出来栄えがよければ最高3点が追加される。

 ジャンプの回転不足は、回り切っての転倒より評価が低い。2回転になったため基礎点はわずか1・43点。出来栄え点が加算されても1・60点にしかならなかった。羽生とフェルナンデスの合計得点は約12点差。「もし」は禁物だが、フェルナンデスが4回転サルコーを決めていれば、おそらく宇野は上回り、羽生とも競っていたと推定できる。

 ▽北京五輪へ、さらに進化

 フィギュア男子の進化は今後も進むに違いない。それを示したのが、惜しくも4位になった金博洋(中国)と5位のチェン(米国)の潜在能力の高さだった。

 金は、4回転で最も難度の高いルッツを含め3種類に4度挑み、3度成功させた。まだ20歳。表現力を磨けば、4年後の北京五輪では地元の星になる。

 五輪の怖さを体現したのが18歳のチェンだった。今季は国際大会無敗で五輪に臨み、羽生の最大のライバルと見られていたが、前日のSPで3度のジャンプをことごとく失敗した。羽生の完璧な演技の直後で、重圧が体を硬くしたのか。17位と大きく出遅れた。

 フリーではプレッシャーから解放されたように、得意のジャンプを跳びまくった。4種類すべての4回転ジャンプに6度挑み、5度成功。フリーでは他を圧倒する215・08点をマークし、5位まで急浮上した。

 北京五輪までにフィギュア男子はどこまで進歩するのだろう。4回転3、4本はスタンダードになり、4回転半のアクセルジャンプも誰かが取り入れているかもしれない。(共同通信=荻田則夫)

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