食で支えるニッポンの金ロード 平昌五輪でも“味の素食堂”フル回転

 4年に一度の大舞台で、全ての力を出し尽くしたい-。そう願う選手の思いを、毎日の温かい食事から支えようという取り組みが進んでいる。平昌五輪で日本選手団がコンディションを維持・発揮することを目的に、日本オリンピック委員会(JOC)は現地に食事施設を2カ所設置。食品メーカー「味の素」が運営し24時間態勢で選手をサポートする。寒いゲレンデやリンクを離れ、ホッと心休まるひとときを作るべくフル稼働する“食堂”に迫った。

 選手が試合後、常々口にする「練習通りにできた」という喜びや「練習でやってきたことができなかった」という反省。普段通りに戦うことの重要性やその難しさを表しているが、「普段通り」を築くサポートを買って出たのが食品メーカーの味の素だった。

 味の素は2003年からJOCのオフィシャルパートナーとなり、食と栄養、スポーツ科学、アミノ酸コンディショニングなどの分野で強みを生かしてサポートを開始。現在はナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で栄養支援や食に関する講義などを担うほか、個々の選手のサポートも行っている。

 16年リオ五輪では「普段の力を発揮するには日本の食環境を整えるのが一番」というJOCの意向もあり、選手村の近くで製品を活用した和食の提供を初めてスタート。選手からも好評で、山下泰裕強化本部長は「メダル獲得の原動力の一つになったことは間違いない」としている。

 評判を聞いた冬季各競技団体からの要望もあり、平昌五輪でも「G-Road Station」と呼ばれる食事施設を雪上種目が行われる平昌地区、氷上種目が行われる江陵地区の2カ所に設置することが決まった。江陵は選手村から徒歩数分と至近。一方の平昌は、選手村の近くに日本スポーツ振興センターが設置するコンディショニング施設(ハイパフォーマンスサポートセンター)ができるため、選手村から離れたスノーボードとフリースタイルスキー会場の近くに設置した。

 現地には調理師を含め19人のスタッフを派遣。日本から調味料などを持参するほか、現地でも食材を調達し、白米やだしご飯、ご飯のお供や汁物、低カロリーのデザートまで食べることができる。

 日本代表選手団本隊が現地入りする2月4日からオープンし、閉会式の25日まで実施。施設の開場時間こそ決まっているが、“宅配”を含めた24時間サポートで金メダルをアシストする。願いは、選手が「食のストレスなく、栄養をしっかり取った状態で競技会場へと向かう」(JOC関係者)ことだ。

 フィギュア男子の羽生結弦(23)=ANA=には2013年夏から個別にサポートを開始。食が細いことによる体力不足の改善を目指して取り組み、ソチ五輪では金メダルを獲得した。平昌五輪へ向けてはリオ五輪後の16年9月からコンディション管理を再開。国際大会にも帯同し、試合スケジュールに応じた食事プランを考えるなどパフォーマンスの発揮に貢献した。

 羽生をはじめ、これまで多くの選手のコンディショニングを支えてきた“栄養のプロ”が、今回はより多くの競技の躍進に尽力する。

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