高梨沙羅 遠のく頂点、メダル争いすら混沌に「少しのミスも許されない」

 W杯ジャンプ女子個人第7戦で4位に終わった高梨沙羅=蔵王
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 「スキージャンプ・女子W杯」(19日・クラレ蔵王シャンツェ)

 男女通じて史上最多となる通算54勝目が懸かった高梨沙羅(21)=クラレ=は1回目が93・5メートル、2回目も93メートルと飛距離を伸ばしきれず、216・0点で4位に終わった。

 表彰台を逃すのは5試合ぶり。これで今季は7戦未勝利、昨季最終戦から8戦連続のV逸は自己ワースト記録更新となった。優勝者との得点差44・9点は高梨にとってW杯参戦以降過去最大点差。マーレン・ルンビ(23)=ノルウェー=が1本目で101・5メートルを飛びぶっちぎると、2回目も100メートルを飛び、260・9点で圧勝。前週の札幌大会から日本ラウンド3連勝で今季5勝目を飾った。

 試合後、険しい表情が崩れることはなかった。試行錯誤が続くジャンプはこの日も飛距離を伸ばしきれず「札幌から蔵王に変わって、自分のポジションに落とし込んできたつもりでいたけど、ジャンプ台が変わって狂ってしまったということは落とし切れてなかったということ。テーマにしているカンテ(踏み切り台)にインパクトをという部分まで至らなかった」と、唇を噛みしめた。

 何よりも痛感させられたのは、ルンビの強さだろう。1回目、高梨とルンビはほぼ同じ条件だったが、8メートルの大差をつけられた。「やはり別格だなと思います」と、素直にその強さを認めるしかなかった。

 さらに今季2勝をあげ、ルンビと並ぶ“欧州2強”の一角、アルトハウス(ドイツ)が調整のため不在だったにも関わらず、表彰台を逃した現実も追い打ちを掛ける。このまま調子を上げきれなければ、3週間後の平昌五輪で悲願の金メダルはおろか、表彰台も厳しい状況になる。「本当に少しのミスも許されない試合になってきている」。顕著な女子ジャンプ界全体のレベルアップに、先頭に立ってけん引してきた絶対女王が飲み込まれつつある。

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