萩野 日本勢金1号 ライバル瀬戸と60年ぶりW表彰台

 「リオ五輪・競泳男子400m個人メドレー・決勝」(6日、五輪水泳競技場)

 前回ロンドン大会銅メダルの萩野公介(21)=東洋大=が自身の持つ日本記録を3年ぶりに更新する4分6秒05で、今大会の日本選手団第1号となる金メダルを獲得した。競泳の金メダルは08年北京大会男子平泳ぎ2冠の北島康介以来で、個人メドレーを制したのは日本勢初。ライバルの瀬戸大也(22)=JSS毛呂山=も銅メダルを獲得し、1956年メルボルン大会以来、60年ぶりに日本選手が同時に表彰台に上った。

 “無冠のエース”がついに覚醒した。1年前はギプスで固定していた右腕を必死に伸ばし、諦めかけた栄光をつかみ取った。夢に見た金メダル。拳を握った萩野は、4年間の苦悩をすべて吐き出すかのようにほえた。

 「最後タッチしたとき、1人じゃないと思えた。(瀬戸)大也だったり、平井先生だったり、家族だったり、支えてくれる人のおかげの順位だと思えた」

 ロンドン五輪以降、金メダルに一番近い男と言われながら、大舞台で勝てない。指導する平井伯昌監督は「アイツがダメなときは勝手に孤立する」と萩野の弱点を看破した。圧倒的な泳力を持ちながら、課題は精神面。生後5カ月で水に入り、小学生時代から学童記録を次々と塗り替えてきた怪童は勝つことが当たり前。それ故に「勝てなかったらどうしよう」という“ビビり”が心を支配するようになっていた。

 追い打ちをかけるように、昨年6月の海外合宿中に右肘を骨折。昨夏の世界選手権を欠場し、リオ五輪出場も危ぶまれた。今でも肘は完全には伸びない。それでも、競泳人生最大の挫折を味わったことで無駄なプライドを捨てることができた。

 不安も喜びも平井監督と共有した。「先生に背中を押してもらって取れた」勲章を、監督の首にかけ、2人で涙ぐんだ。

 まだ萩野伝説は始まったばかり。平井監督は「才能もあるし努力もできるけど、唯一ビッグタイトルがなかった。これで萩野公介の完全体になれると思う。やっと北島みたいになれる時が来た」と太鼓判を押した。

 今大会は200メートル個人メドレーで米国代表のフェルプス、ロクテとも激突する。覚醒した日本のエースが第一人者に引導を渡し、萩野時代の到来を告げる。

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