【一問一答】金メダルの萩野「大也がいなければここにいない」
「リオ五輪・競泳男子400m個人メドレー・決勝」(6日、五輪水泳競技場)
12年ロンドン五輪銅メダルの萩野公介(21)=東洋大=が、4分6秒05の日本新記録で優勝し、今大会日本選手団初の金メダルを獲得した。同学年のライバル瀬戸大也(22)=JSS毛呂山=は銅メダルを獲得した。萩野の一問一答は次の通り。
-今の心境は。
「素直にうれしいです。ただ、まだレースは残っているので」
-タッチした時は何を思った。
「本当に…1人じゃないと思った。最後の50メートルはチェイス(・カリシュ=米国)選手が迫ってたので、すごく怖かった。ただ、自分がやるべきことは最後まで勝ちきることだと思った」
-最後は力は残っていたか。
「残ってました。へたくそな平泳ぎで最後の自由形につなげられた」
-終盤に競り合ったときの心のよりどころは。
「苦しかったけど、楽しんで。最後は平井(伯昌)先生に背中を押してもらって、行くしかないと。(レース直前に)『大也とかチェイスがこうやってくるから』と言われて、でも最後は…『出し切れ』と言われました」
-金メダルは重いか。
「もちろん。(4年前の銅メダルと)比較はできないけど。あの時はあの時の銅メダルで、今回は今回の金メダル」
-支えてくれた人への思いは。
「先生や家族がいないと僕はいない。タッチした瞬間に1人じゃないと思えた」
-なぜそう思えたか。
「なぜ…五輪だからです」
-負けられない重圧につぶされそうになった。
「いろいろ考えて、すごく苦しい時期あったし、不安がゼロになったことはない。でもその不安を先生に話したりした。だから自分は1人じゃないと思えた」
-瀬戸と上った表彰台は。
「本当に大也がいなければ僕はここにいないし、そしてこれからももっと続いていくと思う」
-プールでは瀬戸とどんな言葉を交わしたか。
「特に、言葉はないです」
-右肘をけがして。
「背泳ぎの1ストローク目で肘がパキッと鳴って、何の因果かと思ったけど。でも昨年のけががないと、こういう結果を残せてない」
-東京五輪では。
「また大也ともっと競りたいし、チェイスとも競ることになるだろうし、他の選手も出てくるだろうし、もっと厳しくなるだろうけど、いいレースをしたい」
-ラスト10メートルで考えたことは。
「(脳科学者の)林(成之)先生の言葉を思い出してました。『終わりを考えると力を出し切れなくなる』と。だから終わりを考えなかったと思う」
-「五輪だから」とは。
「4年間の間があいた。いろいろあって、昨年は世界選手権に出られなかった。大也が頑張ってくれたから、僕もリハビリを毎日できた。だからこそ最後タッチしたとき、大也だったり、平井先生だったり家族だったり、支えてくれる人のおかげの順位だと思う」
-米国勢が5連覇中だった種目で、個人メドレーで日本人として勝った。
「僕自身、フェルプス選手やロクテ選手の活躍を見て、2人のようになりたいと思ってやってきた。この種目で勝てたのはうれしいし、200メートル個人メドレーでは、2人と泳ぐ機会があるので楽しみ」
-同じ1994年生まれが表彰台を独占。
「やっぱりこの3人だったなと思う」
-東京五輪に向けて、ホスト国の代表としてどういうライバルストーリーを刻むか。
「僕は骨折しないところから始めて、まずは常に大会に出て、常にいい勝負ができるように頑張りたい」