愛ちゃんに被災者がエール「胸張って」

 王者・中国に挑んだ卓球女子団体。福原愛(23)の出身地、仙台市では7日深夜、市役所近くの公園に大型スクリーンが設置され、福原がスマッシュを決めるたびに、集まった市民約150人が大きな歓声を上げた。福原は「メダルを持ち帰ってみんなに喜んでもらいたい」と話し、五輪に臨んだ。見事に、日本卓球史上初の銀メダルで約束を果たした福原の健闘を、大きな拍手でたたえた。

 応援に来ていた仙台市卓球協会の高橋光範さん(66)は「中国はやはり強かったがいい試合だった。銀メダルを持って堂々と帰ってきてほしい」と笑顔で話した。

 福原が通っていた仙台市の仙台白百合学園幼稚園で3年間担任だった石岡順子さん(48)は「強敵相手によく頑張った。今まで見たことのない顔つきで精神面が成長したと思う。幼稚園の子どもたちにも頑張れば夢はかなうと教えてあげたい」と話した。

 「信じられなかったし、信じたくなかった」。震災時は中国で合宿中だった福原は、テレビで故郷の惨状を見た。「ここで卓球をしていていいのか」。自分に何度も問い掛けたという。

 帰国後は被災地のために動きだした。「一歩ずつ前へ」と自筆のメッセージを添えた衣類などの物資を送り、昨年5月には仙台市の避難所や小学校を訪問した。

 同市立東六郷小は、津波で校舎が被害を受け、近くの六郷中に移転。ミニ卓球台は子どもたちの貴重な遊び道具になった。今年5月、卓球台のお礼と五輪での活躍を期待する思いを込め、応援歌を作った。「日本中の希望のせて オリンピック 金メダル」「愛ビリーブイン愛ちゃん 信じてる」。全校児童36人で歌う姿をDVDに収録。金色の手形を押した横断幕とともに届けた。

 その横断幕をこの日、福原の母千代さん(61)が試合会場に持ってきた。

 「愛ちゃん」からパワーをもらった被災者が、今度は逆にエールを送り、みんなの思いが銀メダルという形で実を結んだ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

五輪最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    注目トピックス