【評論】松野明美氏・女子マラソン惨敗

 「ロンドン五輪・女子マラソン」(5日、マル発着周回コース)

 日本勢は惨敗でした。ゲラナ選手が五輪記録を出し、男子と同じように女子マラソンもスピードレース時代になってきたと感じました。石畳のコースとか気候とかそういう条件の問題ではなく、スピードでまったく歯がたたなかったということです。

 日本選手がなぜ勝てないか。一つは下り坂の走り方です。私たちの現役時代は、下りはエネルギーを蓄えながら休むときと捉えていました。しかし、アフリカ勢はちょっとした下り坂でも長いストライドを生かし、前傾姿勢で加速していきます。

 そしてもう一つはチーム力です。ケニア勢が給水ボトルを手渡している場面が何度かありました。日本の3人もチーム力で戦うと言っていましたが、位置取りを見るとまとまって走っているようには見えませんでした。アフリカ勢は昔、1人ひとりで走って、後半失速していたのですが、集団で走ると安心感もあるのでしょう。

 日本選手は後半に失速する選手を抜くとメダルに近づくという感じでしたが、アフリカ勢のスピードが落ちなくなりました。高地トレーニングなど日本の練習方法を研究されています。これからはアフリカ勢の練習や走り方を研究する必要もあるでしょう。

 これまでの根性論とかではスピードに付いていけなくなった時代です。ただ、高橋尚子さんや野口みずきさんのようにメダルへの執着心はもってもらいたいです。(ソウル五輪女子1万メートル代表)

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