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存廃問題から一転「ばんえい競馬」が好調

インターネットの普及によって廃止の危機を脱した「ばんえい競馬」
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 そりを引きながら速さを競う「ばんえい競馬」(北海道帯広市・帯広競馬場)の売上が、2012年度を境に上昇カーブを描いている。地方競馬など公営競技の売上はここ数年ある程度下げ止まり傾向だが、そのなかでも一時は廃止議論まで余儀なくされた「ばんえい競馬」は、2年度連続で110%以上の伸びをみせている。

 直線200メートルの間に2つの障害を越える。第1、2障害の間ではスタミナを温存させるため、騎手は何度か馬を停止させる。最大のヤマ場は高さ約1・6メートルの第2障害。1000~1200キロ(古馬)の重戦車のような競走馬が懸命にそりを引きながら坂を上り、下り坂ではそのスピードに乗って一気にゴールを目指す。そりを使った競馬「ばんえい競馬」を公営競技として世界で唯一開催しているのは、この帯広競馬場だけである。

 「ばんえい競馬」は06年までこの帯広のほかに、北見、岩見沢、旭川競馬場が巡回して開催していた。しかし、売上の減少によって年間30億円を越える累積赤字に耐えられなくなり「ばんえい競馬」そのものの存廃問題に発展する。最終的に3市が廃止を決定。帯広市は生き残りの最終手段として、ソフトバンクによる包括的な業務委託によって立て直しを図る。

 当時を、帯広市農政部ばんえい振興室・佐藤徹也室長は「前提として税金を一切投入せず、また観光資源としての可能性も秘めているということで、市議会の決議をいただいた。さらに競馬関係者への報奨金を4割カットして、ゼロから再スタートを切った」と振り返る。

 翌07年からはナイター開催を、またオッズパーク、楽天競馬、SPAT4によるインターネット投票(在宅投票)を開始。この効果が大きかった。これによって12年度から、3年連続で前年度比100%超えを達成する。

 12年度総売上104億7989万2500円。前年度比101・1%。(在宅投票率は全体の46・4%)

 13年度116億5383万3700円。111・2%。(51・7%)

 14年度132億1349万6700円。113・4%。(60・6%)

 13年度は初めて在宅投票率が売上の50%以上を占め、昨年度は60%まで達した。まさに「ばんえい競馬」は在宅投票が支えているといっても過言ではない。インターネットの普及が新たな可能性を見いだしたことになる。

 一方で本場での売上が頭打ちしているのが現状だ。土、日、月曜日の3日間開催が基本で、JRAと開催がかぶらない月曜日の在宅投票が堅調という。それならオール平日開催にしたいところだが、観光地という一面もあるため事は簡単ではない。「本場や直営場外の売上を落とさないで、さらにネットでの上積みに期待したい。そのためには『ばんえい競馬』の魅力をもっと情報発信しなければならない」と佐藤室長は力を入れた。

 では、私見であるということを前置きしたうえで(1)300万人以上の会員数を誇る中央競馬の在宅投票システム「IPAT」への参入。(2)ルール説明、最大の商品である騎手、競走馬の露出拡大。(3)トップ騎手ですら年間獲得賞金が1000万円未満であるということを踏まえ、次世代につなぐという意味もこめて魅力ある競技として報奨金アップを含めたイメージ上昇戦略。この3点を今後の課題として挙げたい。

(デイリースポーツ・坂元昭夫)

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