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愛之助二世が誕生? 部屋子が増加傾向

 片岡愛之助二世を目指せとばかりに、歌舞伎の世界に新たな動きが起こっている。愛之助といえば一般家庭から歌舞伎の世界に入り、十三世片岡仁左衛門の部屋子(へやご)となり、高校卒業時に片岡秀太郎の養子に。その後の活躍は周知の通り。この「部屋子」が最近、増加傾向にある。部屋子とは子どものころから歌舞伎俳優の楽屋に預けられ、芸だけでなく楽屋での行儀などの英才教育を受ける、いわば幹部候補生で将来を期待されている。

 現在、東西合わせて部屋子は9人。故勘三郎さんに「もう一人の倅」とかわいがられた中村屋一門の中村鶴松(20)、ネットなどで美少年すぎると話題の梅玉一門の中村梅丸(19)、高麗屋の松本錦成(19)、海老蔵が「勸玄と共に芸道を歩む歌舞伎の未来」という成田屋の市川福太郎(14)・福之助(10)兄弟、上方では愛之助以来となった片岡我當の部屋子・上村吉太朗(14)、愛之助の義父・秀太郎の部屋子・片岡千太郎(9)。そして人間国宝・坂田藤十郎の一門の中村未輝(15)の弟・祥馬(13)が、今月松竹座で部屋子のお披露目をした。

 愛之助は松竹芸能のオーディションに合格し、通常の子役として現代劇などにも出演。その後、歌舞伎の子役として活躍し、才能が認められ部屋子となった。このプロセスをくしくも踏襲するのが中村未輝・祥馬兄弟だ。兄の未輝は部屋子になる前に、本名の吉岡竜輝で映画「少年H」でタイトルロールを演じ、日本アカデミー賞「新人俳優賞」を受賞した経歴を持つ。

 未輝は11年放送のNHK連続テレビ小説「カーネーション」で安岡勘助の少年時代を演じ、水谷豊&伊藤蘭の夫婦共演でも話題になった映画「少年H」(13年公開)では少年Hをのびやかに演じ、注目を集めた。昨年の部屋子としての入門時の会見では、「前から歌舞伎をやりたかった。今後はどうなるか分からないけど、90%は期待です!」と笑顔を見せていた。

 同じコースを歩む“先輩”愛之助については「(同じ松竹芸能出身であることは)知ってました。(愛之助さんのように)なってやる!と思って、やっていかなきゃいけないんですけど、なれない気がします」と少々遠慮気味だった。

 1年経って「子役の時は“お客さん”だった。いまは25日間、自分の出番以外も劇場にいる。やっとここが一段上がることができたな!と思っても、違うところが気になってきます。それも含めて本当に毎日が楽しいです」と振り返る。

 弟の祥馬は兄に遅れること1年。今月の松竹座で中村扇雀の部屋子としてお披露目した。「部屋子になる前は、歌舞伎の子役をやっていても、歌舞伎の人間じゃなかった。だから学校の友達に“歌舞伎の仕事?”と聞かれも、はっきり答えられなかった。でも部屋子になったことではっきりと“歌舞伎やってます!”と言えるようになったのがうれしい」と屈託ない笑顔を見せた。

 御曹司であれば、生まれたときから歌舞伎が身近にある。だが部屋子は一般サラリーマン家庭出身で、日本舞踊や和楽器などとは縁もゆかりもない生活をしながら、いずれも“歌舞伎好き”という共通項がある。当たり前といえば、当たり前だが、大人でも眠くなるような義太夫に自ら耳を傾け、楽屋袖では大人の歌舞伎俳優のマネをして嬉々として遊ぶ。そして舞台の上で1時間近く、大人しく正座していられる。

 もちろん“歌舞伎好き”なだけでなく、才能もあり、努力家だからこそ、声もかかる。吉太朗は小学校低学年のころに、調弦していない琴に耳をふさぎ、また少しの柝(き)のリズムの違いを聞き分けていた。電車を待つ間も自然と手足が動き、無意識で踊りの稽古をしていた。未輝も部屋で芝居の稽古をして「ご近所迷惑になるほど」(祥馬)夢中になっていた。

 歌舞伎の世界で、御曹司以外が頭角を現すのは厳しいが、愛之助という生きる伝説が存在する。松竹も才能をある子供の裾野の広がりも兼ね、2014年4月「こども歌舞伎スクール 寺子屋」を開校し、盛況となっている。

 「歌舞伎を辞める時は死ぬときです」。15歳ながらそう言い切る未輝の姿勢が、部屋子の歌舞伎に対する愛と姿勢を表している。(デイリースポーツ・石川美佳)

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