「圭子の夢は夜ひらく」などのヒット曲で知られる歌手の藤圭子さんが２２日午前、東京都新宿区のマンションの高層階から転落し、死亡した。６２歳だった。

　警視庁新宿署は飛び降り自殺を図った可能性があるとみて慎重に調べている。

　付近住民らは藤さんが住んでいたことをあまり知らなかったようで、藤さんは目立たないようにひっそり暮らしていたと思われる。

　藤さんと同じマンションに住む２０代のカップルは「サイレンには気づいたけれど、珍しいことではないので外は見なかった。まさか自分たちが住んでいるマンションのことで、しかも藤圭子さんが住んでいることは知らなかった」と驚いた表情。

　現場マンションの向かいに住む無職男性(80)は「朝８時４０分ごろに外を見たらパトカーと救急車が集まっていた。血は見えなかった。（遺体は）ストレッチャーに乗せられていて隊員が運び込むのが見えた。毛布か何かでくるまれていたので、誰かは分からないし、男女の区別もつかなかった。まさか藤圭子さんとは…」とぽつりぽつりと話した。この男性も自宅の前に藤さんが住んでいることは知らなかったようで「以前、妻が『近くに藤圭子さんが住んでいるらしい』とは話していたが…」と信じられないといった表情で語った。

　付近に住む女性は朝７時前にサイレンの音で目が覚めた。すでに人が多数集まっていたそうで、「近くに藤さんが住んでいるなんて知らなかった」と硬い表情で話した。