苦戦ヤンキースに復調気配

 大洋ホエールズ、横浜ベイスターズで渉外担当を長く務め、メジャー球界に知己が多いデイリースポーツMLB解説委員・牛込惟浩氏が、シーズンと併走しながら大リーグならではの裏話や秘話を綴ります。

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 本拠地ヤンキースタジアムでレッドソックスを迎えた開幕3連戦。ヤンキースはエース・サバシアの乱調に続き、準エース・黒田が2回途中にビクトリーノ外野手の打球を右手中指に当てて負傷し、1回3分の1を2失点で降板するアクシデントもあって、打撃陣の不振で宿敵レ軍に1999年以来となる開幕2連勝を献上してしまった。

 第3戦は40歳のベテラン・ペティットが8回まで1失点に抑えて、43歳の守護神リベラに9回を託した。リベラは1失点を喫したものの後続を抑えて4‐2の初勝利に貢献。ペティット通算246勝とし、リベラは1年ぶりとなる大リーグ最多の通算609セーブを挙げた。

 一方のレドッソックスには2人の有望株がスタメンに名を連ねる。7番・左翼で起用のブラッドレーJr.外野手(23)。10年のカレッジワールドシリーズで最優秀選手に輝いた逸材で、11年のドラフト1巡目(全体40位)でレ軍に入団した。契約金110万ドルだ。

 俊足で打球への素早い反応力と広角打法が武器。第3戦にメジャー初安打、初打点を記録した。正中堅手のエルズベリー外野手(29)が今季終了時に再契約せず、FA移籍となった際には、センターを守ることになる。

 一方ののホセ・イグレシアス遊撃手(23)は08年にキューバから亡命。09年9月にレ軍と4年契約825万ドル(含契約金625万ドル)でメジャー契約を結んだ逸材だ。強肩好守が売りのボディーコントロールのいい内野手。打率は2割5、6分は残せるゴールドグラブ賞候補で、昨季メジャーに初昇格している。

 さて、デトロイトに移動したヤ軍は現地時間5、6日とも打撃好調のタイガース打線に粉砕されて苦戦が続いた。そして7日、ヤ軍先発サバシア対タ軍軍先発バーランダーの「サイ・ヤング対決」と銘打ったTV放送を見守った。

 先月の29日、バーランダー投手(30)が従来の契約を含めて7年総額1億8000万ドル(約171億円)となるメジャー投手史上最高額で合意しているだけに、期待の対決だった。

 野球は「下駄を履くまで分からない」とよく言われるが、故障が相次いだ主将のジーター、主軸のロドリゲス、グランダーソンやテッシェラの穴埋めに獲得したユーキリス三塁手、ウエルズ外野手らのバットが振れてきた。加えて、11年12月にFAでヤ軍移籍のJ・ニックス内野手(30)が先発スタメン出場し、2点本塁打を含む3安打を放った。

 イチローも今季2本目の安打で打率.111に上昇し、サバシアの好投を援護した。救援右腕ロバートソン、リベラも好投で投打がかみ合い7‐0の快勝。8日からは敵地クリブランドでインディアンスとの3連戦。上昇気流に乗れるのか注目したい。

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 牛込惟浩(うしごめ・ただひろ)1936年5月26日生まれ、76歳。東京都出身。早稲田大学を経て64年、大洋ホエールズに入団。渉外担当としてボイヤー、シピン、ポンセ、ローズなど日本球界で大活躍した助っ人たちを次々と獲得し、その確かな眼力からメジャー球界から「タッド」の愛称で尊敬された。2000年に横浜ベイスターズを退団。現在はデイリースポーツMLB解説委員。

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