大谷翔平の“現在地” 打力低下も一塁到達時間はメジャー1位
シーズンの3分の1にあたる54試合目。6月4日のフィリーズ戦を終えたエンゼルス・大谷翔平投手(27)の打撃成績は打率・243、11本塁打、32打点、OPS(出塁率+長打率)は・768だった。
開幕時は1番に抜てきされ、その後も上位打線を形成し、本塁打、打点、得点でリーグ10傑入り。にもかかわらず、物足りなさを感じるのは、46本塁打、100打点などを記録した昨季の活躍があるからだろう。
米メディアが今季の米大リーグでは打者に不利な低反発球が使用されている可能性を伝えるなか、米大リーグのデータ解析サイト、baseballsavant.comは大谷の“現在地”を明らかにしている。
先に触れたOPSはスラッガーの指標のひとつ。昨季の大谷は1・042のハーパー(フィリーズ)や1・002のゲレロ(ブルージェイズ)らに次ぐ、メジャー5位の・964を残したが、今季の・768は63位。トップは20本塁打でキングを独走するジャッジ(ヤンキース)の1・061。大きな開きがある。
昨季はメジャー1位だったバレル率(Barrel%)はどうか。打球の初速と打球角度の理想の組み合わせを数値化したもので、初速98マイル(約158キロ)以上、角度26~30度の打球が高確率で本塁打や長打になるとのデータがある。大谷のバレル率は昨季の22・3%から16・7%まで減少。1位25・5%のジャッジとの差は大きい。
打球の初速は4月10日のアストロズ戦で自己最速となる119・1マイル(191・7キロ)をマークしたが、平均初速は昨季の93・6マイル(150・6キロ)から92・5マイル(148・8キロ)に落とし、メジャー全体の順位も6位から14位に下げている。平均打球角度にいたっては昨季の16・6度から12・6度まで落ちており、特徴の一つでもある角度のある打球が減っていることを証明している。
四球率が昨季の15%(4位)から9%(70位)に激減しているのは、昨季はけがで5月中旬以降を全休した主砲トラウトが打順のうしろに控えていることが関係しているのは明白。その一方で三振率が昨季の29・6%(9位)から25・1%(42位)に減っているのはプラスだ。ただし、見逃し三振の割合が昨季の18・5%(35/185)から29%(16/56)なのは気になるところ。球審の判定が厳しくなっているのか、ゾーンの見極めが問題なのか。
大谷の持ち味でもある走塁はどうか。走力の指標のひとつ、スプリント・スピード(平均速度)は28フィート/秒でメジャー41位。1位はウイット(ロイヤルズ)の30・4フィート/秒で、同じ日本選手の鈴木(カブス)の28・7フィート/秒(18位)をも下回っている。昨季の自己記録28・8フィート/秒よりタイムが落ちているのは股関節や腰の張りが影響していることは否定できないだろう。
特筆すべきカテゴリーは打ってから一塁到達までの平均時間だ。今季は昨季メジャー1位だった4・09秒を上回る4・08秒。ウイットらを抑えてメジャートップの数字をたたき出している。スプリント・スピードの項目でも触れたように5月以降は出力を抑えながら走っている印象が強いが、それでもメジャーの頂点にいるのは、父の教えでもある『全力疾走』を実践しているからだろう。
昨季は自己最多を更新する月間13本塁打を記録した6月。7月には9本を放つなど、夏場にホームランを量産している。6日のレッドソックス戦では、これまでノーステップ、すり足気味だった右足を上げてタイミングを取る打席があった。より良い打撃感覚をつかむためのプロセス。シーズンは100試合以上残されている。



