「グッドスイング!」試合中に大谷から声を掛けられたレイズ打者が感激感謝
「エンゼルス2-4レイズ」(11日、アナハイム)
エンゼルスの大谷翔平投手(27)が「3番・投手兼指名打者」でフル出場。投手としては6回2安打1失点と好投したが、打線の援護がなく、勝敗はつかず。2登板連続クオリティースタート(6回以上、3自責以下)を記録し、防御率を2・78とした。打者では4打数1安打1盗塁。5試合連続安打で打率・258。あと1本に迫っているメジャー通算100号は次戦に持ち越された。チームは敗れ、連勝は3で止まったが、今季最長20連戦を13勝7敗で乗り切り、ア・リーグ西地区首位をキープした。
「今朝シャワーを浴びながらふと思ったんだ」。
試合前のレイズのベンチでブレット・フィリップス外野手がそう言った。
前夜の試合。8点差をつけられた八回のマウンドに上がった同外野手は時速80キロ台の“カットチェンジ”(本人命名)を投げてトラウトに2ランを浴び、本来は右打ちなのに左の打席に入ったレンドンにも2ランを献上。レンドンの前に対戦した大谷にはメジャー通算100号になろうかという右翼フェンス直撃の二塁打を許した。
去年のメジャー初登板で1球だけ時速150キロを超える球を投げたことがあるという。前夜の試合でも投げることができたが、そうしなかった。
「前に投げた時にコーチから肩肘のけがにつながるかもしれないからやめておけと言われたんだ。自分の体のこともあるけど、昨日はもし、間違って打者にぶつけてしまったら、取り返しのつかないことになるかもしれない。公式戦だから絶対に力を抜いたりはしないよ。でも、昨日の僕の一番の役割は味方の投手を休めることだった。相手を抑えることじゃなかった」。
大谷との対戦後にフィリップスは「もし僕が直球を投げていたら三振になっていたかもしれない。そしたら日本のファンは僕のことを嫌いになるだろう。今日の二塁打でみんながハッピーになった。ホームランを打たれなかった僕もハッピーだ。ウィンウィンだ」と話したが、これらの言葉は彼なりのリップサービスだったのだ。
大谷が先発登板した11日の試合でフィリップスは「9番・右翼」で出場した。試合前にシャワーを浴びながらふと思ったこと。それは、投手として打者・大谷と、打者として投手・大谷と対戦した選手は自分が初めてではないか、ということだった。少なくとも2日連続で実現させた選手は過去にいないだろうし、今後、現れることはないだろう、と。
試合は1点を争う投手戦だった。フィリップスは1点リードの三回1死の場面で大谷から四球を選ぶと、五回2死の場面ではワンボールから内角低め153キロフォーシームを鮮やかなラインドライブの打球で左前へはじき返した。「今日の試合は昨日とは違う。打者として本気で彼に向かっていくよ」。試合前のベンチで強い気持ちを見せた、大谷と同じ1994年生まれの男はその言葉どおり、結果を出した。
そして、その直後のフィールドで全く予期せぬことが起こる。3つ目のアウトを取ってベンチに戻る大谷がフィリップスとすれ違いざまにこう言ったのだ。
『GOOD SWING! PHILLY!(いいスイングだったよ、フィリー)』
「えっ?今、僕に話しかけたの?信じられなかったよ」。そう話すフィリップスの表情は、まさに野球少年のそれ。返事ができないほど舞い上がったのだろう。「彼と話すことがあったら僕の感謝の気持ちを伝えてほしいんだ。いつか彼とゆっくりと会話できる日が来るのを楽しみにしている。野球の話をしたいよ」とも言った。
実はフィリップスの結婚相手は元日本ハム監督のヒルマン氏の娘、ブリアナさんだ。父とともに5年間過ごした日本での経験を愛する人から聞いているのだろう。親日家の27歳は最後に言った。
「こうして彼と対戦できて最高の気分だ。彼の健康と成功を願っている。これから何年も対戦できるように僕も頑張りたい」。





