MLBが選手会に短縮シーズンの可能性を通達 大谷のFA権取得にも影響か 米報道

 米大リーグ機構(MLB)と選手会による労使交渉が2月28日までに妥結しなければ、3月31日に予定されている開幕が正式に延期される、と23日(日本時間24日)、複数の米メディアが伝えた。この日はフロリダ州ジュピターで昨年12月の旧労使協定失効に伴うロックアウト(オーナー側による球団施設封鎖など)突入後初めて3日連続で交渉が行われたが、合意には至らなかった。交渉は明日24日も行われる予定だという。

 米全国紙USAトゥデー電子版によると、MLBはこの日、選手会に向けて今月末までに合意できなければ、開幕を正式に遅らせ、短縮された日数分の給料は支払わないと通達。交渉終了後に同広報担当が「期限は期限だ。失われた試合は失われたままだ。その間の給料は支払われない」との声明を出したという。

 選手会側からはシャーザー(メッツ)やコール(ヤンキース)らが出席した交渉では、MLBが最低保証年俸に関する修正案を提示。昨季は57万500ドル(約6560万円)だった年俸を64万ドル(約7360万円)に引き上げ、毎年1万ドル(約115万円)の昇給を提案したという。

 MLBは前案の63万ドル(約7250万円)から1万ドル(約115万円)の歩み寄りを見せたが、前日の交渉で選手会側は最低賃金77万5000ドル(約8910万円)、毎年3万ドル(約345万円)の昇給を要求しており、依然として大きな開きがある。もう一つの主要争点でもある課徴金(ぜいたく税)に関連する年俸総額の規定額の話し合いはなかった模様。米スポーツ専門局ESPNのパッサン記者は自身のツイッターで、最低賃金だけでなく、年俸総額規定額などでも両者の間に深い溝があることを指摘しながら「1週間以内で終わらせるには項目が多すぎる」とつづった。

 AP通信はシーズン短縮による選手への“実害”について報道した。各選手の年俸を日割り(シーズン186日)で計算。選手会の執行委員で、オフにメッツと3年1億300万ドル(約149億5000万円)の契約を結び、年俸およそ4300万ドル(約49億8000万円)のシャーザーは1日あたり23万2975ドル(約2757万円)を、ヤンキースと9年3億2400万ドル(約372億6000万円)の契約を結んだコールは19万3548ドル(約2225万円)の損失。また、今季のメジャー全30球団の総年俸を昨季の38億ドル(約4370億円)と想定し、リーグ全体で1日あたり2050万ドル(約23億5750万円)が失われるとした。

 開幕が15日間遅れた場合、メジャー在籍日数が減ることでFA権のない若い選手の将来に影響を及ぼすと指摘。「ショウヘイ・オオタニのFA権取得が2023年から2024年にずれ込むことになるだろう」などと記述。球団側のデメリットとして放映権料や入場料などの収入の減少を挙げた。

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