大谷の魅力は二刀流だけじゃない ケガを心配するファンへの“メッセージ”

 エンゼルスの大谷翔平選手(23)が一瞬、困った顔を見せたのは、4月28日のヤンキース戦終了後に行った会見でのことだ。

 前日27日の試合で一塁ベースに走り込んだ際に左足首をひねって途中交代。一夜明けたこの日、日米メディアに患部の状態などを説明した大谷は、質疑応答の中で「心配しているファンへのメッセージをお願いします」とリクエストされ、困惑しながらも笑顔で「メッセージはないですけど、明日以降、試合は続きますし、出れる状態である限り、しっかりと試合に出る準備をしながら1日でも(多く)いい活躍ができるように、試合に勝てるように頑張りたいなと思います」と言った。

 毎年1度だけ本拠地アナハイムで開催されるヤンキースとの3連戦には多くの野球ファンが押し寄せた。全試合で4万人を超える観客を動員し、そのうちの2試合がチケット完売した。日本はゴールデンウィークに入ったばかり。エンゼルスのベンチがある三塁側にいつも以上に日本人が多かったのは偶然ではなかった。

 熊本からやって来た安部忍・啓乃夫妻も例外ではなく、背中に「17 OHTANI」が入ったおそろいのユニホームを着て「メジャーの試合を見るのは初めてです」と興奮気味に話した。中でもシリーズ第2戦にヤンキースの田中将大投手が先発登板する。指名打者・大谷との対決に大きな期待を膨らませていた。

 ところが、前日にまさかのアクシデント。「対決がなくなったのはとても残念ですが、(途中で)出てくることを信じています」。安部さん夫妻と同じ思いを抱いて試合を観戦したファンは少なくなかったはずだ。

 その一方でこんな声もあった。東京出身で現在は中国・北京に赴任している戸谷健太郎さんは中国の労働節に合わせ、妻の佳子さんと同3連戦の観戦ツアーを計画。安部さん夫妻と同じように第2、3戦は大谷のプレーを見ることができなかったが、第1戦で豪快な右越えホームランを目撃している。

 しかし、本塁打以上に健太郎さんの心を揺さぶったプレーがあった。けがをした時の走塁が、それだ。

 「あの全力疾走は大谷選手らしいプレーだと思いました。もちろん、ホームランを見ることができたのはよかったですけど、あの走る姿はもっとうれしかった。速いボールを投げて、遠くへ飛ばすことはまねできませんが、最後まであきらめずに全力を尽くす、あの姿勢はとても参考になります」。

 左足首を捻挫した翌日の記者会見。日本ハム時代に右足首を捻挫し、最終的に手術を受けている大谷は、戸谷さんの気持ちを知っていたかのようにこんな話をしている。

 「全力でやってる中でのことなので、安全に、安全にっていう中でのプレーというのはないと思ってますし、するべきではないと思っています。(今後は)そういうシチュエーションに備えた予防策や、フィジカルのケア、トレーニングというのはあると思うので(やっていきたい)。プレーしてる時は勝つためにプレーしてますし、けがをしないためにはプレーはしてないので、そういう意味では、そんなに(過去の右足首のけがが)トラウマになってるということはないので、今後も瀬戸際のプレーの時にはしっかりベースを踏みに行きますし、なんとかセーフになるように全力で駆け抜けると思います」

 これこそが、心配しているファンに向けたメッセージ。大谷が一番伝えたかったことのような気がしてならない。

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