マー君 ヤンキースで世界一になる!

 新ポスティングシステムで米大リーグ入りを目指していた楽天・田中将大投手(25)は23日、ヤンキースと契約が合意に達したことを発表した。田中は仙台市のコボスタ宮城で記者会見を行い、ヤ軍での世界一を誓った。契約は7年総額1億5500万ドル(約161億円)。日本を代表するエースが、夢への第一歩をいよいよ踏み出す。

 涙も、興奮した様子もない。報道陣200人が詰めかけた会見で、ただ淡々と質問に答えていく。いつもの田中将大だった。「ニューヨークヤンキースと、基本合意したことを、ご報告させていただきます」と切り出した。

 争奪戦を制したのは、当初から大本命だったヤンキースだった。7年契約。1億5500万ドルという破格の条件での契約だ。「最大限に評価していただきましたし、また、世界でも有名な名門チーム」。歴史と伝統あるチームの、ピンストライプのユニホームに袖を通すことになった。

 やるべきことはすでに決まっている。「ただ行っただけでは面白くないし、そんな気もないですし。向こうで世界一をつかみ取るための戦力になりたい」。個人の目標について聞かれても「世界一です」と言い切った。イチロー、黒田と日本人選手も在籍するチーム。「長年活躍されている方とプレーできるのはすごく大きい」と笑顔を見せた。

 言葉ではなく、結果で引っ張ってきた。佑ちゃん、マー君フィーバーとして一大ブームを起こした甲子園。ドラフトでは4球団が競合。ルーキーで11勝を挙げ新人王。北京五輪、WBC。2011、13年の沢村賞。数え切れない実績を残し、昨年は24勝無敗で優勝の立役者となった。

 球団関係者は語る。「そこ(結果)に間違いがないから、周りで文句をいう人もいない」。後輩はもちろん、気づけば星野監督も。誰もが敬意を払った。無敗の昨年は、田中の勝利のためにチームがまとまり、優勝まで突っ走った。そして、夢の挑戦を“応援”しようと、最後は球団をも動かした。

 この日の発言にも、そのスタイルは表れていた。「プレーで信頼を勝ち取るしかない。英語はしゃべれませんが、プレーで見せていきたい」。渡米の予定は未定で、24日以降もコボスタ宮城で練習をしていく。歴史的ともいえる高額移籍。だがその重圧に負けない、静かな闘志と大きな自信を、マー君は持っている。

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